グローバリゼーションが進む現代ビジネスでは、海外に拠点を持つ企業や、さまざまな国籍の従業員が在籍する企業が増えています。
異なる言語や文化を背景に持った従業員が多数存在するグローバル企業にとって、国内外の相互コミュニケーションや情報共有に課題を抱えがちです。
国や言語の垣根を越えたコミュニケーションがうまく取れなかったり、企業理念に沿った全社での一体感に欠けていると感じる点に悩む声を多く聞きます。
こうしたグローバル企業における社内コミュニケーションの活性化や、情報共有に役立つのが「Web社内報」です。
タイムリーな情報発信ができるWeb社内報を、全従業員が同じ情報が共有できるようにローカライズすることで、国内外の情報格差を解消し一体感を高める効果が期待できるからです。
また、異なる言語を持つ従業員同士が、翻訳された記事を通じて相互コミュニケーションを深めることも可能になります。
今回は、Web社内報をローカライズしてグローバル化することのメリットやその方法、知っておきたい注意点などをまとめてみました。
グローバル社内報の制作を検討されている方は、是非ともご一読ください。
目次
社内報の目的
社内報の大きな目的の一つに「全従業員で情報を共有しコミュニケーションを活性化させる媒体」があります。
企業内の情報発信と共有の手段として、メールやチャットツールを活用している企業も多いと思います。
日常的に業務連絡などで使用するにはとても便利なツールですが、全社で共有したい最新情報や経営理念を浸透させるためのトップメッセージなどの発信にはあまり向いていません。
なぜなら、これらのツールはSNSのタイムラインのように情報が流れてしまうため、常に新しい情報に埋もれてキャッチしにくくなってしまうからです。
企業全体での情報共有や情報格差、理念浸透などを目指す場合は、社内報を活用することで「情報を蓄積しておく」ことが重要です。
他にも、社内報には以下のような目的やメリットがあります。
1:情報の共有と発信、保管を担う
2:社内コミュニケーションの活性化を促進
3:理念の浸透や経営者と社員の相互理解を深める
4:社員のモチベーションアップにつながる
5:社員の家族に向けた情報提供ができる
6:採用ツールやブランディングに役立つ
社内報は、情報の発信や共有だけではなく、相互コミュニケーションを活性化させることで企業文化や風土の醸成を促し、従業員エンゲージメントの向上などインナーブランディングを強化するために活用されています。
関連記事:6つの目的から読み解く「社内報の役割」とは?
Web社内報が選ばれている理由
情報発信と共有、相互コミュニケーション活性化やインナーブランディングに役立つ社内報ですが、近年では紙の社内報だけではなく、急速なWeb化が進んでいます。
配布までのタイムラグが発生してしまう紙の社内報と比較して、デバイスから情報を一斉にリアルタイムで発信・共有できるのがWeb社内報の大きなメリットです。
他にも、情報の加筆や修正が簡単にできて検索がしやすい点や、情報を蓄積しておける点、コメント機能などで従業員間のコミュニケーションを活性化する効果など、紙媒体では実現しにくいニーズに応えられるツールとしてWeb社内報を活用するメリットは大きいと言えるでしょう。
関連記事:Webか紙か?知っておきたい両メディアの強みと違い
Web社内報のグローバル化とは?
海外に拠点やグループを持つ企業や、さまざまな国籍の従業員の採用を積極的に行う企業など、社内報をローカライズしてグローバル対応する必要がある企業は増加傾向にあります。
英語版や中国版といった他言語向けの社内報を用意することも重要ではありますが、企業が感じている課題によって社内報をグローバル化する目的も異なります。
例をあげるならば
・国内と海外の相互コミュニケーションをスムーズにしたい
・国籍や文化、言語や専門分野などバックグランドが異なる従業員が相互理解を深め合えるようにしたい
・国内や海外の情報共有を可能にしたい
こういった目的のもと、社内報のグローバル化を検討する企業が増加中です。
企業と従業員、そして従業員同士の相互理解を促すことは、企業文化や風土を醸成していく上では欠かせない重要なポイントです。
海外と国内の従業員のコミュニケーションがスムーズになり活性化することで、企業としての一体感を高めることができます。
そして、それは企業の競争力を底上げすることにもつながります。
社内報のグローバル化は、結果として企業の成長にも通ずると言えるでしょう。
社内報は、情報共有や企業理念の浸透、コミュニケーション活性化と同時に従業員エンゲージメントを高める効果が期待できます。
多様な価値観を持つ従業員を抱えるグローバル企業こそ、その真価を発揮すると言えます。
社内報のグローバル化を考える上では、デバイス上からいつでも閲覧でき、紙の社内報よりもスピーディーな情報共有が可能なWeb社内報がおすすめです。
Web社内報をグローバル化する5つのメリット
国内でも他の拠点や違うグループで働く従業員とは、物理的な距離だけではなく心理的にも距離を感じてしまいがちです。
それが海外と国内となれば、従業員同士が同じ企業で働いているという一体感を持ちづらいのも無理はありません。
こういった物理的そして心理的な従業員同士の距離を縮めるためにも、Web社内報をグローバル化することは有効です。
それでは、Web社内報をグローバル化する5つの具体的なメリットについてまとめていきます。
1:MVVや経営方針など理念の浸透と理解
国内や海外に拠点が点在している規模の大きいグローバル企業では、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)といった企業が掲げる理念や経営方針などを全従業員に浸透させることが難しくなります。
中でも、日本で創業した企業の場合は、日本ならではの考え方や企業文化などを、国籍も言語もバックグラウンドが異なる外国籍の従業員に理解してもらうことは容易ではないでしょう。
Web社内報を通じてMVVや経営方針などを経営層が自らの言葉で語り、それを全社で共有することで理解と浸透を促し、企業として一体感を高めていくことができます。
また、自社のMVVや方針を理解することは、従業員の仕事に対するモチベーションを高めることにもつながります。
国内や海外で意欲的に業務にあたる従業員や、サポート役に徹しがちな部署や拠点などを積極的に取り上げることで、多くの従業員が仕事に対して誇りを持てるきっかけになるでしょう。
特に、Web社内報の場合は動画や音声などリッチコンテンツの配信も可能なツールを選ぶと、より伝わりやすくなるのでおすすめです。
関連記事:MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を浸透させる方法 ~Web社内報の効果 vol.1~
2:企業の価値観や方向性の統一
社員一人ひとりが持っている価値観は異なるものではありますが、特に日本と海外では会社に対する「帰属意識」に大きな違いがあると言われています。
海外では日本のような終身雇用制が存在している国は珍しく、多くの国ではキャリアアップのために転職することが当たり前になっています。
日本では「この企業に入りたい」と思って入社する人が多いですが、海外では業務内容を最重視して選ぶことが多く、外国籍の従業員が日本企業に入社を決める際に企業文化などに対する理解が浅いまま入社するケースが多くあります。
そのため、多様なバックグラウンドを持つ外国籍の従業員に対して、社内報を通じて企業への理解を促すことができれば、行動指針や企業の方向性を統一させることにつながります。
3:企業文化や風土の醸成
企業の中でも、それぞれの部署や拠点ごとに異なった雰囲気を感じた経験があると思います。
海外に拠点やグループを持つグローバル企業となると、さらに国や地域で組織が細分化されることになり、そこで異なる文化や風土が形成される傾向があります。
企業全体での共通認識が根付きにくいと言われています。
そこで、社内報を通じて国内外の従業員に向けて、どんな部署でどんな人たちが働いているのか等を紹介することで、自社を知り相互理解を深めるきっかけになるでしょう。
コメント機能やリアクション機能があるWeb社内報を選ぶと、そこからコミュニケーションが活性化することが期待できるので、より活気に満ちた企業文化や風土の形成にもつながります。
4:国を越えた広い情報共有
企業の規模が大きくなればなるほど、組織の縦割り化が進み情報伝達のスピードは遅くなりがちです。
所属する部署以外の情報には目が届かなくなり、企業がどのような状態なのか・どんな動きがあるのかを掴みにくくなります。
海外の拠点を有するグローバル企業となれば、こうした課題はより顕著に現れるのではないでしょうか。
国内で起きていること、海外拠点で起きていることを共有する機会を持たなければビジネスチャンスをも逃してしまうでしょう。
メールやチャットツール、社内SNSなどを利用して情報を共有している企業も多いと思いますが、こういったツールは情報が流れてしまうため、Web社内報を併用して情報をカテゴライズしながら蓄積していくことをおすすめします。
Web社内報を活用することで、国や地域を超えた現地の最新情報を共有することが可能になるため、トレンドをいち早くつかんで新しい戦略を立てるなど企業経営にも役立てることが期待できます。
5:相互コミュニケーション活性化
「3:企業文化や風土の醸成」でも触れましたが、コメント機能やリアクション機能があるWeb社内報を選ぶと、対面で会うことができない従業員同士でもコミュニケーションが生まれやすくなります。
他にも、社内報では定番とも言える他己紹介や拠点の紹介といった働くメンバーにスポットを当てる企画は、こうした記事から従業員のモチベーションを刺激し、エンゲージメントの向上にもつながると期待できます。
Web社内報をグローバル化する際の注意点
Web社内報をローカライズしてグローバル化することはさまざまなメリットがありますが、国内だけで運用する場合とは異なる面が多く注意が必要です。
閲覧環境やセキュリティ対応、ローカライズするための制作体制など、注意すべきポイントをまとめてみました。
・多言語対応や自動翻訳の対応
Web社内報をグローバル化するためには、日本語以外のさまざまな言語で閲覧できるようローカライズすることが大前提です。
よって、日本語で作成したコンテンツを翻訳する作業が必須となります。
こうした多言語翻訳を人力で行うには時間もコストもかかり、Web社内報の強みでもあるスピード感が活かせなくなってしまいます。
AI翻訳など自動翻訳機能などを使う方法もありますが、ニュアンスが伝わらなかったり、意図とは違う直訳になってしまうなど正確さに不安が残る場合が多いです。
こうした不安を払拭するには、Webサイト多言語化ソリューションを併用することがおすすめですが、対応できるWeb社内報は限られています。
翻訳やローカライズをどのように対応するかしっかりと検討しておくことが重要です。
・グローバルスタンダードの再認識
前述の通りローカライズに向けて翻訳作業がマストですが、同じ言葉でも国や地域によって捉えかたが異なる場合があるため、表現や翻訳が不適切なものにならないよう注意が必要です。
海外諸国と比較して、まだ日本ではダイバーシティ&インクルージョンの理解が遅れている面が多いので、多様性に関する表現などはグローバルスタンダードの認識を企業内で整えておくようにしましょう。
・各種デバイス閲覧の対応
Web社内報はインターネット環境があればすぐに閲覧できる便利さがある反面、1人一台のPCを持たずに働く従業員への配慮が必要です。
アプリ対応しているWeb社内報を選ぶことで、個人のスマートフォンなど各種デバイスからも閲覧が可能になり、従業員の情報格差を解消することができます。
従業員一人ひとりが自由なタイミングで閲覧できる環境を整えておくことで、Web社内報をより身近に感じてもらえるようになります。
あらかじめ自社における主流デバイスの割合などを把握しておくと良いでしょう。
コンテンツを制作する際にも、どのデバイスからアクセスしても読みやすいようなレイアウトに整えておくこともポイントです。
・国や地域による通信環境の対応
Web社内報は音声や動画などリッチコンテンツの配信が可能です。
しかしこうしたコンテンツの再生には大量のデータ通信が発生するため、国や地域のネットワーク環境によっては正常に再生できない場合も考えられます。
コンテンツ制作時はできるだけデータを軽くするなどの配慮が必要です。
海外拠点を含む全社において、音声や動画などリッチコンテンツの閲覧に耐えうる通信環境であるか事前に確認しておきましょう。
・アクセス制限への対応
国や地域によっては他国から発信される情報へのアクセスが制限されている場合があります。
特に知られているのは中国におけるグレート・ファイアウォール、などのインターネット規制です。
こうしたアクセス制限はWeb社内報のグローバル化において最も困難なハードルだと言われています。
世界各国のアクセス制限に対応できる高いセキュリティを備えたWeb社内報を用意する必要がありますが、その数は多くないのでしっかりと見極めて選びましょう。
まとめ
Web社内報をローカライズしてグローバル化することのメリットやその方法、知っておきたい注意点などをまとめました。
国内だけで閲覧することを前提としたWeb社内報と比較して注意すべき点は、翻訳とアクセス制限に対する対応です。
世界各国とタイムリーな情報共有と発信、そして国や地域を横断した相互コミュニケーションを実現するためには、翻訳とアクセス制限をクリアしなければなりません。
しかしながら、この2つのハードルを超えられるWeb社内報サービスはなかなか見つからないでしょう。
SOLANOWAは、こうしたグローバル企業におけるコミュニケーション課題の解決を多数お手伝いしてきました。
Web社内報のローカライズや、グローバルセキュリティを懸念されている企業のご担当者さまは是非お気軽にご相談ください。