Web社内報はアクセス解析ができるツールやシステムを併用することで、効果測定ができるという大きなメリットがあります。
どの記事がどれくらい読まれているかなど、Web社内報の現状を数値化することで課題を「見える化」することができます。
効果測定ができるということは、Web社内報の目的でもあるインターナルコミュニケーションの成果を把握することでもあります。
アクセス解析ツールやシステムには様々なものがありますが、もっとも一般的なのは「Googleアナリティクス」です。
無料で高機能な分析ができるGoogleアナリティクスですが、実際に分析を始める際にはどの数値を見たらいいのか迷う声を多く聞きます。しかし、Web社内報は、外部公開サイトのように不特定多数の人がアクセスするものではないため、実は必要な指標は7つのみです。
そこで今回は、Googleアナリティクスを使用したWeb社内報のアクセス解析で、必ず押さえておきたい基本となる7つの指標を解説いたします。
目次
⚫︎アクセス解析で抑えておきたい7つの指標とは?
1:ページビュー数 PV
2:ユニークユーザー(UU)数
3:アクティブユーザー(AU)数
4:セッション数
5:平均セッション時間
6:直帰率
7:デバイスカテゴリ(デバイス識別)
⚫︎まとめ
アクセス解析で抑えておきたい7つの指標とは?
Web社内報の効果測定とは、閲覧状況の分析を行うことです。
Web社内報にどれだけユーザー(従業員)がアクセスしているか、どんな記事が何回読まれているのか、サイトに何分くらい滞在しているのかなど、傾向を分析することができます。
こうしたデータ分析をすることは、読まれるWeb社内報にするために必要な企画や改善案を検討することに役立ちます。
そして大切なのは効果測定を継続的に実施することです。
では、Googleアナリティクスの効果測定でこれだけは抑えておきたい7つの指標を解説していきます。
1:ページビュー(PV)数
ページビュー(PV)数 とは、ユーザーがWebページを表示した回数です。「アクセス数」や「閲覧数」とも呼ばれています。
例えば、AさんがWeb社内報でトップページ、記事の一覧ページ、記事の詳細ページと3ページを閲覧した場合、3ページビュー(PV)となります。
ユーザーが同じページに戻って読み直しした場合でも、PV数は1回としてカウントされます。
先ほどの例で、AさんがWeb社内報でトップページ、一覧ページ、詳細ページ、最後にまたトップページに戻った場合は、4ページビュー(PV)となります。
また、ページをリロードしてもPV数にカウントされます。
1人が同じページを10回リロードすれば10ページビュー(PV)とカウントされるということです。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間のPV数を把握できます。
1:【ユーザー > 概要 】をクリック
2:【サイト全体の合算されたPV数 】が確認できます
なお、全ての指標は右上のセレクトボックスから、データの期間を選択することができます。
(以下、Googleアナリティクス画像は全て一部を加工して掲載しています。)
また、Web社内報全体のPV数だけではなく、各記事のPV数も把握することができます。
PV数が高く人気のある記事の共通点や傾向を分析することで、Web社内報の改善策や企画立案の参考になります。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間の記事ごとのPV数を把握できます。
1:【行動 > サイトコンテンツ > すべてのページ 】をクリック
2:【各ページのPV数 】が確認できます
2:ユニークユーザー(UU)数
ユニークユーザー(UU)数とは、サイトやページにアクセスしたユーザーの数です。
Google Analyticsでは「ユーザー」という指標で表示されます。
例えば、1ヶ月の間で100人の従業員がWeb社内報にアクセスし、ページを閲覧した場合、UU数は「100」となります。
ここで重要なのは「同じユーザーが何回そのサイトを閲覧してもUU数には関係がない」ことです。
1ヶ月の間でWeb社内報にアクセスした100人の従業員うち、ある一人のユーザーが通算20回アクセスしていたとしても、UU数は「100」のままです。
Googleアナリティクスは、デバイスのブラウザーにあるCookieと呼ばれる情報で人を区別しています。
よって、同一人物が同じPCから何回アクセスしてもUU数は1回としてカウントされますが、デバイス(PCやスマートフォン)やブラウザが異なる場合は、違うユーザーとしてカウントされることに注意が必要です。
例えば、ある従業員が
・業務用PCでChromeから
・業務用PCでSafariから
・休憩時間にスマートフォンから
Web社内報にアクセスした場合、違うユーザーとしてカウントされることになるのでUU数は「3」となります。
どれくらいの人数がWeb社内報にアクセスしているかを把握できるのがUU数です。
「全従業員の◯◯%の閲覧を目指す」など、Web社内報の閲覧率で目標を立てた場合は、このUU数を注視しておくようにしましょう。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間のUU数を把握できます。
1:【ユーザー > 概要】をクリック
2:【サイト全体の合算されたUU数 】が確認できます
3:アクティブユーザー(AU)数
Googleアナリティクスにおけるアクティブユーザー(AU)数は、ある特定の期間内にサイトにアクセスしたユーザーの数のことです。
上述のUU数とAU数は、ともにサイトに訪問した「ユーザーの数」をカウントするので、対象物としては同じとなります。
2つの違いは、「集計期間を設定しているか、いないか」の違いとなります。
・AU:特定の集計期間を設定する
・UU:集計期間を設定しない
一般的にアクセス解析の目的としては継続的な統計データを管理することが多いため、AUとUUは別々の項目として用意されていますが、アクセス解析を開始したばかりの方々は2つを大きく区分けせずとも大丈夫です。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間のAU数を把握できます。
1:【ユーザー > アクティブユーザー】をクリック
2:【サイト全体の合算されたAU数 】が確認できます
4:セッション数
セッション数とは、ユーザーがサイトにアクセスした回数のことです。「ビジット数」や「訪問回数」とも呼ばれています。
セッション数もUU数と混同されやすい指標なのですが、同一ユーザーから複数訪問があった場合もセッション数はその都度カウントされます。
例えば、Aさんが1週間以内にWeb社内報サイトに4回アクセスしたとします。
1回目は3ページ、2回目は4ページ、3回目は10ページ、4回目は1ページにアクセスした場合。
この場合ですが、1度のアクセスでWebページがどれだけ読まれたかは関係なく、セッション数は「4」になります。
サイト内で何ページ遷移しても、訪問回数としては1回で、セッション数は1です。
ただし、30分間何も操作しないとセッション切れと見なします。
セッションが切れるデフォルトの基準は、以下の3つのルールがあります。
- 30分ルール
30分を経過すると一度セッションが切れる。例えば、40分サイト時間見ていた場合は2セッションになります。 - 日付変更ルール
日付が変わればセッションが切れる。例えば、23時50分から、0時5分まで閲覧した場合は2セッションになります。 - 流入(参照)元ルール
流入(参照)元が変わるとセッションが切れる。例えば、PCでWeb社内報を閲覧したあと一度サイトの外に出て、30分以内にスマホからアクセスすると2セッションとなります。同じく30分以内にPCでブックマークから再度アクセスした場合は、流入(参照)元が同じなのでカウントは増えず、1セッションのままです。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間のセッション数を把握できます。
1:【ユーザー > 概要】をクリック
2:【サイト全体の合算されたセッション数 】が確認できます
5:平均セッション時間
平均セッション時間とは、サイトの平均滞在時間のことです。
1ページ平均でなく、サイト全体でどれぐらい滞在したかの時間のことを示します。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間の平均セッション数を把握できます。
1:【ユーザー > 概要】をクリック
2:【サイト全体の合算された平均セッション数 】が確認できます
ここで注意すべきポイントは、「最後に閲覧したページはカウントされない」という点です。
例えばAさん、 Bさん、 Cさんというそれぞれ1分づつ閲覧したユーザがいた場合、このセッション時間は3分ではありません。
最後のページはカウントされないため2分になります。
合わせて、記事ごとの「平均セッション時間」も把握しておくと、Web社内報がどこまで読まれているかの傾向を探ることができます。
例えば、経営者インタビューや社員総会レポートなど文章量が多く読むのに時間がかかりそうな記事なのに平均セッション時間が短い場合は、最後まで読まれていない可能性が高いと推測することができます。
途中で離脱されてしまっているかもしれない記事が多い場合は、文字数など記事の内容や構成の改善を検討する必要があるかもしれません。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間の記事ごとの平均セッション(滞在)時間を把握できます。
1:【行動 > サイトコンテンツ>全てのページ】をクリック
2:【記事ごとの平均ページ滞在時間 】が確認できます
6:直帰率
直帰率とは、最初のページしか閲覧しなかったユーザーの割合のことです。
Web社内報にアクセスして1ページを表示したが、ほかのページは閲覧しなかったというセッションが「直帰」に該当します。
直帰率は、直帰セッション数を全体のセッションで割った数値をパーセントで表示しています。
直帰率については、一般的な公開サイトでは直帰率は40〜60パーセント台が合格水準と言われています。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間の直帰率を把握できます。
1:【ユーザー > 概要】をクリック
2:【サイト全体の直帰率 】が確認できます
また、Googleアナリティクスでは各記事ごとの直帰率や離脱率も把握することができます。
一般的にユーザーが直帰する原因は、求めていた情報がなかった、ページが読みずらい、次のページへの導線がない、などネガティブな要素に起因すると言われています。
しかし、こうしたネガティブな要因以外にも「該当ページで欲しい情報を得て満足した」結果、ユーザーが直帰したという場合もあります。
例えば、常日頃から自社のWeb社内報を読んでいる従業員からすれば、更新された新しい記事だけを閲覧して離脱することは、ユーザー動向としてよくみられるパターンです。
直帰率が高いと改善が必要なサイトやページと思いがちですが、このようにユーザーが記事に満足したので直帰している可能性も考えられるため、一概にネガティブに捉える必要はありません。
しかし、何度でも繰り返し読んでもらえるWeb社内報は、より組織のエンゲージメントを高めることができるといわれています。
そのためには、新着記事をきっかけにWeb社内報にアクセスしてくれる従業員が、改めて過去記事も読みたくなるような回遊性の高い導線設計を意識し、直帰率や平均滞在時間などを分析していけるようになると良いでしょう。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間の記事ごとの直帰率を把握できます。
1:【行動 > サイトコンテンツ>全てのページ】をクリック
2:【記事ごとの直帰率】が確認できます
7:デバイスカテゴリ(デバイス識別)
デバイスカテゴリとは、Webサイトへどのデバイスからアクセスされているのかを分析した数字です。
Web社内報はアプリ対応することで、PCだけではなくスマートフォンやタブレットなどさまざまなデバイスで閲覧することが可能になります。
自社の従業員はどのデバイスからWeb社内報を読む人が多いのかを把握することで、その傾向に応じたコンテンツ制作の立案に役立ちます。
Googleアナリティクスでは以下のような画面で、任意の集計期間のデバイスカテゴリを把握できます。
1:【ユーザー > モバイル > 概要】をクリック
2:【デバイスカテゴリ】が確認できます
デバイス識別データを把握することは、どのデバイスのサイトを改善するのが効果的か、改善の優先順位を決める指針にもなります。
例えば、アプリ対応したWeb社内報であれば、スマートフォンから閲覧する従業員が一定数いると考えられます。
PCと比較してスマートフォンからの閲覧数が増加しない場合は、アクセスを止めてしまった人が多いと推測ができます。
PCとスマートフォンでは、ページ内の文字や写真の見え方が大きく異なります。
PCより小さなスマートフォンやタブレットの画面でも読みやすい記事になっているかを意識し、Web社内報の内容をブラッシュアップしていくようにしましょう。
つまり、デバイス識別データを把握することは、PV数増加に向けた改善も重要な対策と言えます。
まとめ
紙の社内報でもWeb社内報でも、もっとも多い悩みが「読まれているのかがわからない」ということです。
Web社内報であれば、こうしたGoogleアナリティクスなど利用した指標からアクセス解析を行うことで、成果や改善点の可視化が可能になります。
例えば、PVを分析すると人気の高いページが分かり、ユーザーである従業員が求めているコンテンツの傾向を読み取ることができます。
Web社内報は、できるだけ多くの従業員にアクセスして閲覧して欲しい、いわばWeb社内報を通じて企業のファンになってもらいたいものだと言えます。
そこで、7つの指標の中でも特に注目しておきたいのが「5_平均セッション時間」でもふれた「記事ごとの平均セッション時間」です。
最後まで読むには時間がかかりそうなボリュームのある記事を公開しているのに、その記事に対するセッション時間が極端に短い場合は、ユーザーが最後までコンテンツを読まずに離脱している可能性があるのではないか?と推測できます。
この場合、記事全体のテキスト量や写真の並べ方などコンテンツの構成を見直してみたり、PCだけでなくスマートフォンでも読みやすい記事になっているかなど、視点を変えて改善点を洗い出すことが大切です。
同時に、できるだけ多くの従業員に何度もWeb社内報を読んでもらえるように、他の記事をクリックしたくなるようなわかりやすいリンク導線をつけるなどサイトの細部を改善していくことで、サイト内の回遊率があがり、読まれるWeb社内報へブラッシュアップできるでしょう。
今回ご説明した基本となる7つの指標をもとに、まずは自社のWeb社内報のアクセス解析から始めてみてください。