社内報は、実は明治時代から企業に取り入れられている歴史が深いものでもあります。(社内報の歴史に関してはコラム「その時、社内報が動いた!起源は諸説あり?」でまとめています。ぜひ御一読ください。)社内の情報共有を円滑にしたり、コミュニケーションを活性化させたり、社内報は企業活動を行うために欠かせないツールです。
かつては新聞や冊子といった紙の媒体で社員に配布する形が主流でしたが、インターネットが発達した現代ではWebやアプリなど配信できる社内報が増加しています。
そんな社内報ですが、2020年に直面したコロナパンデミックがトリガーとなり、デジタル化が加速する変革期を迎えたと同時に、再びその価値が見直されています。その背景には大きく分けて2つの理由があります。
1つめの理由は、感染拡大によりテレワークが普及し働き方が大きく変化したことで、組織内の意思疎通や部署を横断した情報共有が難しくなり、コミュニケーションに支障を感じる企業が増えたこと。
2つめの理由は、同じくテレワークが普及したことで、紙の媒体で配布することが物理的に困難になり、配信ができるWeb社内報への切り替えや併用を検討する企業が増えたこと。
以上の理由から、今まで以上に需要が高まるWeb社内報ですが、その目的を正しく理解できているでしょうか?今回は、既に社内報を運用している企業はもちろん、今後導入を検討している企業の方へ、社内報の役割や発行目的、そして効果を最大化するために意識すべき点をまとめてみました。
目次
●社内報の役割とは?6つの目的から解説
1:情報の共有と発信、保管を担う
2:社内コミュニケーションの活性化を促進
3:理念の浸透や経営者と社員の相互理解を深める
4:社員のモチベーションアップにつながる
5:社員の家族に向けた情報提供ができる
6:採用ツールやブランディングに役立つ
●紙とWebの読まれ方の違いについて
●社内報を読みたくなる工夫が必要
●まとめ
社内報の役割とは?6つの目的から解説
多くの企業が発行している社内報ですが、企業活動における社内報の役割とはどんなものでしょうか?
発行する目的は企業によってさまざまですが、その目的や意味を理解しないまま社内報を作っても、思ったような効果を生み出せないだけでなくコストそのものが無意味になってしまいます。狙い通りの効果を出せるよう、社内報の役割や目的を主に6つのポイントから把握していきましょう。
- 情報の共有と発信、保管を担う
社内報の最もポピュラーな目的といえば社内への「情報共有と発信」です。
社内報の情報といっても内容は企業ごとに様々ですが、多くの社内報に共通するものとして、経営戦略や企業理念、経営者インタビューや社員紹介など多様な情報が含まれています。
社内報ではこういった多くの情報を扱うことから、社内で情報を効率よく共有したり発信するため手段を担っていると言えます。
そして社内報は社員全員が読める・アクセスできる情報であることから、有益な情報をいち早く社内で広めると同時に、社員同士の情報格差を減らすことができるメリットがあります。
同時に、社内報を定期的に発行(更新)することで多様な情報がストック·保管され、社史のような役割も果たしてくれます。
新入社員がいつでも会社の歴史に触れることができ、人材定着に向けたオンボーディングにも役立つでしょう。
また、企業の規模が大きくなるほど情報伝達と共有の速度や正確性は下がると言われています。その課題を補うことも社内報の役割だと言えます。 - 社内コミュニケーションの活性化を促進
リモートワークが普及したことにより、今まで以上に他部署とのコミュニケーションが停滞していると感じる企業が増えています。
同時に、いざオンライン・オフラインで交流する場を設けても、他部署のことを知らないが故に会話に困るという声も少なくありません。
社内報でさまざまな部署の業務内容やメンバーを紹介したり、業績や成果を共有しあう場となれば、自分とは関わりのない部署の情報も手に入れることができます。
社員同士のコミュニケーションが活性化することで、自社に対する愛着が生まれ、離職率の抑制にも効果があります。
部署や所属の垣根を越えてコミュニケーションをとることで、新たな気づきやアイデアが出てくる場面も。
社内報のブラッシュアップに成功している企業では、一方通行の情報発信ではなく、読者である社員からも意見などを自由に発信できることで、風通しの良い企業文化を形成する土台になってくれているという声も上がっています。 - 理念の浸透や経営者と社員の相互理解を深める
社内報のコンテンツは企業によりさまざまですが、経営方針や企業理念、社長や役員メッセージなどはマストな内容ではないでしょうか。
こうした理念やメッセージは社員に浸透しにくい面があります。
そんなとき、経営者や上層部が伝えたいメッセージなどを共有するツールとして有効なのが社内報です。
企業がどんな経営戦略を練っているのか、どんな理念を持ち、社員にどのような仕事をしてもらいたいと考えているのか。
企業理念や経営方針など社員に向けて繰り返し発信していくことで浸透を促し、経営者と従業員間の相互理解を深めてくれます。
社員一人ひとりが自社への理解を深めることは、組織力の向上や愛着心につながります。
同時に、企業が目指すべき方向や行動指針を明文化することで、目標達成や課題解決に向けて取るべき行動について、社員自らが考えるきっかけを与えてくれるでしょう。 - 社員のモチベーションアップにつながる
社員紹介やインタビューなど社内報の定番と言われるコンテンツでは、社員の考えや働く姿を取り上げることで仕事に対するモチベーションを向上させる効果が期待できます。
多くの社員が目にする社内報で、自分自身や所属部署が掲載されることで、新たにやる気を引き出される社員も大勢いるでしょう。
また、大きな成果を上げた場合でも、自分から周囲に触れ回ることは難しいことです。
そこで、社内報を通じて全社に向けて成果を発信することができれば、多くの社員が知ることができ、成果を上げた本人や部署に対してポジティブなアクションを返してくれると思います。それを受けた側は「もっと頑張ろう!」と、より前向きな気持ちになれるでしょう。 - 社員の家族に向けた情報提供ができる
社内報を家族に読んでもらうことで、企業に対する理解を深めてもらうツールになります。
なぜ家族に情報を提供することが重要なのか?と疑問を持たれるかもしれませんが、企業にとっては社員とその家族も、実は大切な存在であると言えるからです。
ライフワークバランスを重視する現代では「家に帰ってまで仕事の話なんてしたくない」という人も多いでしょう。
とはいえ、家族にとっては身内の仕事内容や、どんな仕事をして、どのような成果をあげたり貢献しているのか知りたいのが本音ではないでしょうか。
自分の家族が働いているのは、どんな企業なのか?何をしているのか?どんな人たちが働いているのか?こういった事を社員の家族に理解してもらうことで、社員本人も安心して働くことができます。
結果として、家族に向けて情報提供や発信をすることで、社員本人の離職率を低下させる効果も期待できるのです。 - 採用ツールやブランディングに役立つ
就職活動中の学生や中途採用における選考フローの場でも、自社を知ってもらうためのツールとして社内報を活用している企業も増えています。
最近ではベンチャー企業を中心に、誰でも読めるウェブサイトのようなオープンなWeb社内報を運用される企業も増えているようです。
面接や会社紹介だけでは伝わりづらい社内の雰囲気なども、社内報のさまざまな情報から知ってもらうことができるからです。
どんな部署があり、それぞれがどんな仕事をしているのか、社員はどんな目的を持って働いているのか、取引先やお客様からの印象や評価はどのようなものか?など、より詳細に企業を知ることができます。
採用におけるミスマッチを防ぐと同時に、企業のブランディングツールとしても社内報が役立ちます。
紙とWebの読まれ方の違いについて
社内報の役割について、まずは6つの目的に焦点を当てて振り返ってみました。
一言に社内報と言っても紙の社内報とWeb社内報とでは、その「読まれ方」が違っています。
紙は「プッシュ型」メディアと呼ばれ、読み手である社員が自ら何もせずとも手元に配られることで、目を通しやすい特徴があります。
対してWebは「プル型」メディアと呼ばれで、自分からサイトへ読みに行かなければならず、目を通すための行動が必要です。
紙の場合は、手に取るついでにパラパラと中身を読んでもらえる確率は高くなりますが、Webは指定のページにアクセスし目当ての記事をクリックする過程があって読まれるという両者の違いを認識しておきましょう。
詳しくは別コラム「Webか紙か?知っておきたい両メディアの強みと違い」にまとめましたので、この機会にぜひ御一読ください。
社内報を読みたくなる工夫が必要
社内報の目的を理解することは、いわばスタートラインでもあります。
社員に読んでもらうためには、読みたくなるような・読まれるための工夫が欠かせません。別途本サイトのコラムでもご紹介する予定ですが、読まれる社内報を作るためポイントがあります。
まず初めに、何のために社内報を発行するのかという目的やターゲット、コンセプトを明確にすることが重要です。
社員ができるだけ自分ごととして捉えられるような記事やコンテンツを用意しましょう。
さらに制作の過程では、読みやすさを考慮したレイアウトを意識したり(コラム「視線を掴むレイアウトで読まれるWeb社内報へ(前後編)」参照)、見出しや写真などデザイン面にもこだわりが必要です。
そして完成した社内報をできるだけ社員が読みやすい時間に配布したり公開することもポイントになります。
まとめ
テレワークの普及により、ここ一年を境に働き方が大きく変化した企業も多いと思います。
また、SDGsの観点からも社内のペーパーレス化が進み、コスト面も考慮して紙の社内報からWeb社内報への切り替えを検討する企業も増加中です。
しかしながら、Web社内報が全てにおいて紙の社内報より優れているとは限りません。
前述のように社員の家族やOBへの配布が慣例となっている企業では、Web社内報のみに切り替えた場合、セキュリティ面を考慮し、コンテンツ運用をする必要が生じます。
そのような機能を備えたWeb社内報システムを用意するのは容易いことではありません。
両メディアの良さを取り入れる意味でも、紙の社内報とWeb社内報を併用していく方法も一つの解決策だと言えます。
コミュニケーションの停滞や不足によるチームワークの低下は、企業としての生産性も低下させてしまいます。
社内報を活用することでコミュニケーションを円滑にし、エンゲージメントを高める組織づくりを行っていきましょう。
なお、それでもセキュリティがご心配の企業は、セキュリティに定評のあるWeb社内報サービス「SOLANOWA」も合わせてご検討ください。