社内イントラネットの普及と発達で急速に広まるWeb社内報には、多くのメリットがあると言われています。
紙の社内報ではできなかったことが簡単に実現できてしまうことは言わずもがな。
リアルタイムで情報を更新しながら動画や音声メディアを使った発信もできるのはWebならではのメリットです。
そしてSNSの台頭と流行は、Web社内報にも少なからず影響を与えていることも事実なのです。
その最もわかりやすい例として「いいねボタン」の存在が挙げられます。
Web社内報に投稿された記事に対して"いいね!"を押すことで、気軽に反応ができコミュニケーションの活性化に繋げようという狙いがあります。
Web社内報を管理するシステムには「いいねボタン」を設置できる機能を組み込んだものが実に多く存在しています。
とても便利な機能ではありますが、一方で「どこもかしこもSNSみたいで疲れてしまう......」という声があることも見過ごせません。
そこで今回は、Web社内報にいいねボタンを設置することでどんな効果があるのか?
そのメリットと懸念すべき点についてまとめてみました。
「いいねボタン」があると"いいね!"と言われる理由
社内報はWebでも紙でもまずは「読んでもらう」ことが最も重要です。
そしてもう1つの重要な役割が「社内コミュニケーションの活性化」を促すためのものであるということ。
「社員が読みたくなる社内報でコミュニケーションを活性化する」ためのコンテンツ作りが必要になります。Web社内報ならではの機能で一役買ってくれるのが「いいねボタン」をはじめとする読み手のアクション機能です。
Web社内報には、使用するシステムや仕様により異なりますが「いいねボタン」や「コメント投稿」など、身近なSNSに似た機能を設置することが可能です。
記事を見た社員が「いいね!」とボタンを押すことで共感を示したり、コメントで感想や意見を寄せることで、社内コミュニケーションの活性化が期待できます。
発信する側も、何らかの反応やアクションをもらうことで、社内報が確実に社員に届いている実感を持てモチベーションが上がる相乗効果も。
さらに利点として、いいねの数やコメント数と内容が視覚化することでどのコンテンツが見られているか効果測定が可能な点が挙げられます。
これはアンケートなどを実施しないと見えなかった紙の社内報ではできなかったWeb社内報の大きなアドバンテージです。
反応が良かったコンテンツを分析することで、ニーズに合わせた「読みたくなるコンテンツ」の企画立案ができ、Web社内報の内容を充実させていけるメリットがあります。
「いいねボタン」があると"いいね!"と言えない理由
しかし、一方では「いいねボタン」やコメント機能があることで、読み手がプレッシャーを感じる声も挙がっています。
"いいね!"を押さなくちゃいけない、何かコメントしなければいけない、と強制的な義務感を抱いてしまう場合です。
特に社員から回答やインタビューを募った企画では、いいね!やコメントが少ない場合には、協力した本人が傷付いてしまうことも。
いいね!やコメントが欲しいという発信側の想い空回りすると、読み手はリアクションが面倒だと感じてしまいます。
発信側も読み手である社員も義務感やストレスが増え、まさに"SNS疲れ"と似た感情をもたらす可能性があることに注意しましょう。
また、反応が可視化しやすい「いいねボタン」は、その反応が少ないことを否応無しに見せてしまう諸刃の剣でもあります。
例えば社長のインタビュー記事をWeb社内報に掲載したとします。社員はとても興味深く読みましたが、社長に対して"いいね!"とカジュアルな反応を示すことが正しいのか迷ってしまい、ボタンを押すことをためらってしまった場合。
いいねの数が少ないことを社長が自らが知ると、記事を読んでもらえていないと感じてショックを受けてしまうと思いませんか?本来なら感じる必要のない感情をいだかせてしまうのは、コミュニケーションを活発にするという本来の目的から逸脱してしまうことになってしまいます。
いいねボタンのちょうどいい距離を探しましょう
では、先ほどの社長インタビュー記事はいったいどうすれば良かったのでしょうか?
答えは意外と簡単です。
「いいねボタンは付けない」こと。これでいいのです。
全ての反応を可視化させる必要はありません。
社長のインタビューのように、働く社員に向けて、時としてその家族にも広く伝えたいメッセージを込めた記事には、いいねボタンはなくてもいいのです。
記事が読まれているのか反応を知るためには、Web社内報ではアクセス解析などを用いることができるからです。
Web社内報の管理システムでは、ほとんどの場合、この「いいねボタン」を付けて掲載するかをあらかじめ選んで更新ができる機能を搭載しています。
「いいねボタン」を付けるのは特定の企画に絞ったり、雑談のような自由な投稿系のコンテンツに限定したり、Web社内報で使い分けることがベストです。
便利な機能だからと言ってやみくもに使用するのではなく、企画や社風に沿った使い方を実践していきましょう。