パーパス経営が注目される背景と企業にもたらす6つのメリット

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昨今の社会情勢や価値観の急激な変化により、自社の存在意義を見つめ直し社会貢献を行う「パーパス経営」に対する注目が高まっています。
パーパス経営では自社の存在意義をパーパスとして明確にする必要があり、それを社内に浸透させることも大切です。

パーパス経営を実践する企業は日本でも以前からありましたが、変化の激しい現代社会において、企業が生き抜くためにもその重要度は増していると言われています。

そこで今回はパーパス経営とは何か、なぜ重要なのか、企業にもたらすメリットなどをまとめました。

パーパス経営とは

パーパス経営とは、社会の中で自社が担う役割や、どのような存在意義を発揮するのかといった目的を掲げ、その目的を社会や消費者や世界に向けて知らせ、それを軸として目的に沿った企業経営を行うことです。

パーパス(purpose)は、「目的」「意思」「意義」といった意味を持つ言葉で、ビジネスシーンでは、存在意義や志といった意味で用いられています。

パーパス経営は、2018年にアメリカの大手投資運用会社であるブラックロックのラリー・フィンクが「パーパスの重要性」を提唱したことから広まった考え方だと言われています。
続く2019年にはアメリカの大手経済団体であるビジネス・ラウンドテーブルが「企業のパーパスに関する声明(Statement on the Purpose of a Corporation)」を発表し、株主至上主義の経営から、人や社会を重要視する経営への転換を求める動きが始まりました。
この流れは日本国内にも広がり、多くの企業がパーパス経営に取り組み始めています。

そして近年では、エシカル消費やESG投資の広まりと共に、企業にビジネス上の成果だけでなく、社会課題や環境問題への取り組みを期待する流れが強まっています。
ここで言う社会課題や環境問題とは、SDGsが指摘する17の課題も含まれています。
こうしたさまざまな社会課題に取り組むことを「パーパス経営」のテーマとして掲げている企業も増えています。

パーパスとMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の違いについて

前述の通り「パーパス」とは存在意義のことですが、パーパスと似た概念に「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」があります。
パーパスとミッション・ビジョン・バリューの4つの概念には、以下のような違いがあります。

  • パーパス(Purpose)
    社会、環境、世界の観点から考えた自社の存在意義

  • ミッション(Mission)
    企業、事業として成し遂げるべきこと、企業が社会に対して「なすべき使命」

  • ビジョン(Vision)
    企業の理想とする姿や将来像、企業が目指す「あるべき姿」

  • バリュー(Value)
     企業として重視する価値観や行動基準、企業の従業員が具体的に「やるべきこと」


4つの概念の違いを一言でまとめるならば「パーパス経営とは、パーパスを前提として、企業内にバリューを浸透させ、ミッションを達成し、ビジョンに向かって進むことである」と説明できるのではないでしょうか。

関連記事:MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)を浸透させる方法 〜Web社内報の効果 vol.1〜

混同されやすいパーパスとミッションの違いについても触れておきます。
パーパスは「社会の中でどうありたいのか、なぜ企業が存在するのか?」というWHYの視点があり、ミッションは「社会に何を働きかけたいのか、何をするのか?」というWHATの視点があります。
パーパスとミッションは似ていますが、わかりやすく言うならば、パーパスが目的地なのに対して、ミッションは「目的地に着くために何をするべきか」という戦略的な視点が入るという点に違いがあります。

    パーパス経営が注目される背景

    なぜ今、パーパス経営が注目されているのでしょうか。
    代表的な理由として、以下の4点があげられます。
     ・価値観の変化
     ・ESG投資への注目による投資家の評価基準の変化
     ・VUCA時代の到来
     ・消費志向の変化 

    • 価値観の変化
      消費者の中心となる「ミレニアル世代」では、エシカル消費への関心が高まっています。
      ミレニアル世代とは、2000年以降に成人や社会人を迎える層の総称です。
      今後の労働人口においてミレニアル世代の割合が高くなる中で、企業が生き残るためにはミレニアル世代に選ばれるようなエシカル消費を考慮することは、もはや避けて通れません。
      こうした観点からも、社会への貢献を意識したパーパス経営が注目されています。
      エシカル消費の具体例として、フェアトレード商品やリサイクル製品、地産地消、被災地産品などがあります。
      エシカル消費はSDGsとも関連があり、17の指標のうち「12、生産、消費」がそれに該当します。
      その内容は「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」というもので、天然資源の管理や効率的な利用、食品廃棄物の減少といった具体的な課題が設けられています。
      また、就職活動にあたって企業選びの際にも、ミレニアル世代はこうした社会課題の解決を重視する傾向にあると考えられています。
      労働人口の中心にミレニアル世代の割合が高くなる中で、優秀な人材を確保し、企業が生き残るためにもミレニアル世代に選ばれるような社会貢献を意図したパーパス経営の重要性が高まっています。

    • ESG投資への注目による投資家の評価基準の変化
      2つ目の理由は、投資家の評価基準の変化です。
      従来では、投資家が企業を評価する際に最も重視していた基準は収益性です。
      投資家は企業の業績や利益率、キャッシュフローなどいわゆる「お金」を重視した投資をしていました。
      しかし、投資家だけでなく企業もお金に固執しすぎたことで、気候変動など環境問題や、労働問題、さまざまな社会問題が起きたと考えられるようになりました。
      前述でも触れたSDGsへの関心が高まるにつれ、持続的な社会の実現に向けて、投資家の評価基準に「社会的な課題解決に貢献できるか」といった基準が新たに追加され、ESG投資が世界的な主流となっています。
      ESGは、environment(環境)、social(社会)、governance(企業統治)の3つの頭文字をとった略語です。
      ESG投資とは、投資家がESGの要素を考慮して企業などに出資する投資スタイルの総称です。
      投資家がESGを重視するようになったことから、企業もパーパス経営へ注力するようになりました。

    • VUCA時代の到来
      3つ目の理由は、VUCA時代の到来です。
      VUCA(ブーカ)は、volatility(不安定)、uncertainty(不確実)、complexity(複雑)、ambiguity(不透明)の4つの頭文字で、VUCA時代とは、将来予測が難しくなる時代になることを示唆する言葉です。
      VUCA時代が本格的に到来すると、企業がこれまで培ってきた自社の価値や戦略、ビジネスモデルなどが通用しなくなるだろうと言われています。
      例えば、携帯電話が普及したことで公衆電話の必要性が薄れた例や、現金の利用が減りキャッシュレスが普及することでATMの必要性が薄れることなどです。
      企業が生き残るには「予測ができないVUCA時代を想定する」という経営戦略をつくる必要があり、パーパス経営は今後さらに重要性が高まり、そして難しくなることが予想されます。

    • 消費志向の変化 
      4つ目の理由は、消費志向の変化です。
      前述のエシカル消費をはじめ、消費志向がモノからコトへ変化しています。
      モノが溢れた現代では、モノを所有することよりも、魅力あるコトを体験したり経験することに価値を置く傾向があります。
      顧客マーケットでは、せっかく手に入れるなら、自分の欲求にとらわれず社会や環境に役立つ商品を買い求める傾向があり、特にミレニアル世代にその傾向が顕著です。
      消費者がモノよりコトにお金を払うようになると、企業はただ売ることだけを考えるのではなく、「なぜそれを売るのか?どうしてそれを行うのか?」を発信しなければ、消費者に納得してもらえず、選ばれなくなってしまいます。
      社会に対してどのような課題に取り組むかというパーパス経営を打ち出すことが、これからの企業活動では不可欠になってきていると言えるでしょう。

    パーパス経営の6つのメリット

    社会情勢が目まぐるしく変化する現代において、パーパス経営を行うことで得られるメリットとして、主に以下のような点があげられます。
     1:イノベーションが推進できる
     2:迅速な意思決定ができるようになる
     3:従業員エンゲージメントが向上する
     4:魅力的な人材を獲得できる
     5:ステークホルダーからの支持を得やすくなる
     6:企業の価値が高まる

    1. イノベーションが推進できる
      自分たちがどうありたいかを軸にするパーパス経営では、イノベーションが生まれやすくなります。
      パーパスが明確になることで従業員が共通認識を持つことができ、組織の中で「どうしたら実現することができるか」と、自分ごと化できるようになり、目的意識が強くなります。
      目的意識が強くなると、実現するためのアイデアや柔軟な考え方を持ちやすくなり、イノベーションが生まれやすくなると期待できます。
      その結果、社員から様々なアイデアが生まれ、イノベーションを推進するきっかけとなるでしょう。

    2. 迅速な意思決定ができるようになる
      自社のパーパスが明確になることは、意思決定をする際の指針にもなります。
      経営層が事業戦略を考える際に意思決定しやすいのはもちろんですが、従業員にとっても同様です。
      従業員がパーパスを理解し、企業全体で共感している状態をつくることができれば、普段の仕事の中でも判断基準を明確にして意思決定のスピードを上げることができます。
      企業として社会にどう貢献するかがパーパスによって明確であれば、それを実現するために自分がすべきことや何を選択すべきかといった判断に迷うことが減り、業務での意思決定が早くなるでしょう。

    3. 従業員エンゲージメントが向上する
      パーパス経営に取り組むことで従業員エンゲージメントが向上するメリットもあります。
      パーパスは従業員にとって、その会社で働く意味や意義に通じるものです。
      自社が社会においてどのような存在を目指し、どのような志を持っているのかといったパーパスを明確にして従業員に伝えることで、自分達が働く意味を感じやすくなります。
      その結果、従業員も自分の業務が社会に貢献していると感じられ、誇りを持てるようになり、エンゲージメントが向上します。

    4. 魅力的な人材を獲得できる
      自社のパーパスを明確にすることで、そのパーパスに共感する人材を惹きつけることができるというメリットがあります。
      前述の背景でも触れましたが、ミレニアル世代以降は、就職活動にあたり企業選びの際にも、社会課題の解決を重視する傾向にあると考えられています。
      ミレニアル世代は、メディアなどを通じてさまざまな社会課題に触れる機会が増えており、社会と自分とのつながりを日常的に考える傾向があります。
      今後の労働市場の中心を担うミレニアル世代から選ばれる企業として、社会に対して自社がどうありたいかというパーパスを明確にし、発信することで魅力的な人材を惹きつけることができるようになり、より自社にマッチした人材を獲得することができるでしょう。

    5. ステークホルダーからの支持を得やすくなる
      企業には顧客や従業員を中心に、株主・投資家といった経営を支えるさまざまなステークホルダーが数多く存在します。
      こうしたステークホルダーに対して、自社のパーパスを表明して一貫性のある経営を行うことで、共感を生み出しやすくなります。
      共感が生まれることで、ステークホルダーからの支持が得やすくなり、あらゆるサポートを受けることができるようになるでしょう。

    6. 企業の価値が高まる
      パーパス経営は企業の存在意義を改めて見つめ直し、社会課題の解決に貢献するものです。 
      日本に限らず、世界中の多くの著名な企業、ブランド企業がパーパス経営を始めています。
      パーパスを起点として、SDGsやESGなどの観点を取り入れ、自社のビジネスとうまく融合することで、より大きなインパクト与えるビジネス領域を開拓することにもつながります。
      そしてこれまでとは違った新しい顧客体験の創出など、新しいイノベーションも見出すことができると考えられています。
      また、企業は自社の利益を追求するという前提がありますが、パーパス経営のもと社会課題の解決に取り組むことで顧客や取引先からといったさまざまなステークホルダーから信頼を獲得でき、企業の価値を高めることにつながるでしょう。

    パーパス経営の条件とは?

    では、実際にどんなパーパスを明確にし、パーパス経営を実施すれば良いのでしょうか?
    パーパス経営を実施する際に必要とされる条件として、次の5つがあげられます。
     ・社会課題の解決につながること
     ・自社の利益を生み出すこと
     ・自社のビジネス結びつくこと
     ・自社で実現が可能なこと
     ・従業員にやる気をおこさせること

    • 社会課題の解決につながること
      パーパスは、社会、環境、世界の観点から考えた自社の存在意義であり、今ある課題への取り組みとも言えます。
      身近にある社会課題に向き合う姿勢を示すことで、自社を取り巻くさまざまなステークホルダーが、パーパス経営へ共感できるようになると考えられています。

    • 自社の利益を生み出すこと
      パーパス経営は社会貢献を目指すものですが、企業におけるボランティア活動とは異なります。
      理想があるだけで利益が出ない活動ではステークホルダーに不安を与えてしまいかねません。
      パーパス経営を実施するにあたり、すぐに利益を出すのは難しくても、長期的には企業価値やブランド価値を高めて、利益を生み出す必要があります。

    • 自社のビジネスに直接結びつくもの
      社会貢献を目指すと言っても、自社と全く関係のないビジネスへ舵を切ることは間違いです。
      馴染みのないものに目的をフォーカスしても長続きせず、ステーホルダーはもちろん市場にも受け入れられないでしょう。
      パーパス経営を実施する際は、自社のビジネスに直接結びつくものが望ましいと言えます。

    • 自社で実現可能なこと
      どんなに素晴らしいパーパスを定めても、自社の身の丈に合った、自社で実現可能なものでなければ実現するのは困難です。
      パーパス経営とは、実現できない夢物語ではなく、自社で実現が見込めるものへの取り組みである必要があります。

    • 従業員にやる気をおこさせるもの
      パーパス経営に欠かせないことは、企業で働く従業員がその取り組みの意義を自分のものとして理解することです。
      そして、掲げたパーパスを実現するために、高いモチベーションをキープできる、従業員にやる気をおこさせるものである必要があります。
      企業と従業員が目指すべき方向性が明確であれば、変動の激しい現代社会において不測の事態が起きた時も従業員の不安を払拭させることができるでしょう。

    パーパス経営に取り組むためのステップ

    パーパス経営に取り組むためには、いくつかのステップを踏むと、スムーズにいくと考えられています。
    パーパス経営を実践する際に抑えておきたいステップとは、主に以下の4つがあります。
     1:自社を取り巻く状況の分析
     2:パーパスの言語化
     3:事業や組織の運営に反映する
     4:業務で意識できる仕掛けづくり

    1. 自社を取り巻く状況の分析
      パーパス経営に取り組む前に、まずは自社がどんな環境や状況の中にあるのかを分析することが大切です。
      自社を取り巻くステークホルダーごとに分析を行うと現状を把握・整理がしやすいです。
      実際に分析を行う際は、ステークホルダーにどんな従業員・顧客、取引先、投資家がいるのか、そしてそれぞれからの自社の評価はどのようなものかを把握し、それぞれに向けて自社が発信しているメッセージを整理しましょう。

    2. パーパスを言語化する
      自社の現状を分析した後は、パーパスとして掲げるメッセージや言葉を考案し作成します。
      パーパスを言語化する際、経営陣でメッセージや言葉を考える方法もあれば、現場の従業員にも参加してもらい、それぞれの目線で考えるといった方法もあります。
      しかしながら、参加者が多くなると出た意見をまとめる難易度が高くなるため、自社の状況や環境に合わせた方法を選ぶと良いでしょう。

    3. 事業や組織運営に反映させる
      パーパスを言語化し策定して終わりではなく、実施に自社の事業や組織の運営に反映させることで、一貫性のあるパーパス経営に取り組むことができます。
      策定したパーパスを軸に、どのようなビジネス、事業を作りあげていくのか検討し、実際に行動を始めましょう。
      ここで大切なのは、事業への反映だけではなく、組織の運営にもパーパスを反映することです。
      チームマネジメントなどへもパーパスを反映させることで、一貫性のある企業経営ができます。

    4. 業務で意識できる仕掛けをする
      社会課題への貢献などを意図するパーパスは、比較的スケールが大きいことを言語化するため、日常の業務では従業員がそれらを意識しづらいという特徴があります。
      従業員が意識しづらい状態が続くと、結果として企業としてパーパスの体現が不可能になってしまうため、日常の業務で意識できるよう工夫をしましょう。
      例えば、社内報でパーパスに対する取り組みを定期的に発信したり、パーパスについて考えたり振り返る機会となるようなワークショップを行うなど、パーパスに結びつくような行動指針を策定すると同時に運用するための仕掛けづくりも大切です。

    パーパス経営の取り組み事例

    日本でも多くの企業がパーパス経営に取り組んでいます。
    実際にパーパス経営に取り組んでいる企業の事例を数社ピックアップしました。
     ・ソニーグループ株式会社
     ・ネスレ日本株式会社
     ・東京海上ホールディングス株式会社
     ・味の素株式会

    • ソニーグループ株式会社
      2019年に「Sony's Purpose & Value」を発表し「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす。」というパーパスを掲げています。
      その実現に向けた「Values(価値観)」には、夢と好奇心、多様性、高潔さと誠実さ、持続可能性という言葉が並び、世界で約11万人の従業員を抱え多様な事業を展開しているソニーグループならではの、多様な価値観を認め合いながらも同じ目標を見据えて進む決意を感じさせるパーパスです。
      パーパスを共有し、全従業員へ意識が浸透しているため、経済が打撃を受けたと言われるコロナ禍でも怯むことなくエンターテイメントを提供しつづけ、2020年度は過去最高益をマークしています。

    • ネスレ日本株式会社
      ネスレでは「ネスレは、食の持つ力で、現在そしてこれからの世代のすべての人々の生活の質を高めていきます。」というパーパスを掲げています。
      このパーパスを実現するため、ネスレ日本では「個人と家族のために」「コミュニティのために」「地球のために」という3つの領域で、本業を通じた社会課題の解決に取り組んでいます。
      またウェブサイトでは「2050年までに100億人の人々の需要を責任ある持続可能な方法で満たすという課題を考える。」と記されており、そこに向けたイノベーションと変革が必要だと説いています。
      食に携わる企業ならではの、人が生きていく上で大切なことを守ると同時に、誰も取り残さないというSDGsの概念にも通じるパーパスだと言えるでしょう。

    • 東京海上ホールディングス株式会社
      東京海上ホールディングスでは「お客様や地域社会の『いざ』を支え、お守りする」というパーパスを掲げています。
      これは1879年創業から140年以上変わらないスローガンでもあり、パーパスとして定めることで一貫してぶれないビジョンとパーパスへとつながり、それにより自社の価値を明確化している事例だと言えます。
      また、全従業員のうち約4割が海外勤務の同社では、パーパスを従業員に浸透させることを目的とし全世界対象のCEO会議を開催するなど、浸透に向けた具体的な施策を行いながらグループ間のシナジーも追求しています。

    • 味の素株式会社
      味の素では「アミノサイエンス®で人・社会・地球のWell-beingに貢献します。」というパーパスを掲げています。
      また、同社では「事業を通じて社会価値と経済価値を共創する取り組み」を自社の成長軸と記しており、この取り組みをASV(Ajinomoto Group Shared Value)と称し、現在も経営の基本方針(ASV経営)としています。
      ASVの考え方を全従業員に浸透させ、組織風土を醸成していく施策の1つとして、社会価値と経済価値を共創した取り組みを表彰する「ASVアワード」を実施しており、パーパスの浸透と合わせてさまざまな施策を積極的に取り入れています。

    パーパス経営に取り組む際に注意すべき点

    パーパス経営に取り組む際には、自社の事業や実態との乖離が大きくならないようにする必要があります。
    パーパスを掲げていても、その実態が伴っていない状態のことを「パーパス・ウォッシュ」といいます。
    パーパス・ウォッシュになっている場合、顧客や取引先、投資家からの評価や信頼を得られず、従業員も自社の実態との乖離に対して違和感を抱き、エンゲージメントやモチベーションが低下してしまう可能性があります。
    前述の「パーパス経営の取り組み事例」で紹介した企業は、パーパスを策定し掲げるだけでなく、具体的な施策や取り組みに落とし込み、社内に浸透させているのが特徴です。

    パーパスが飾りにならないためにも、具体的な施策や行動に落とし込んで実行することを意識しましょう。
    まずは、経営層や管理職が、パーパスと事業・業務を結びつけていく必要があります。
    事業を推進するうえでパーパスに近づくことができれば、その成功体験がきっかけとなり、従業員もパーパスと業務の関係性を意識するようになります。
    そして、従業員への教育として定期的にパーパスを意識させることも不可欠です。
    仕事で得られる学びとパーパスが同じ方向であれば、従業員は自然とパーパスと日常業務を結びつけられるようになるでしょう。

      まとめ

      社会情勢や価値観の急激な変化により、予測不可能な時代に企業が生き残るためには、自社の存在意義を改めて見直す必要があるのではないでしょうか。
      利益重視の企業活動だけではなく、社会的意義が重視されるようになったいま、経営戦略や企業ブランディングにおいて、パーパス経営はもはや欠かせない要素だとも言えます。
      パーパス経営を実践する企業は日本でも以前からありましたが、自社に適切なパーパスを掲げるためには、自社を取り巻く状況を分析し、将来的な目標を加味したうえで、社会に貢献できる自社独自の価値を考えることが大切です。

      そしてパーパス経営を実践するにあたり、社会課題への取り組みを意識したパーパスを掲げるだけでなく、従業員に浸透させることが不可欠です。
      浸透するためには、さまざまな施策がありますが、日常の業務でも意識づけを促せるように定期的にメッセージを発信することも必要です。
      例えば、全従業員に対して情報を発信する役割を担う社内報などを活用するのも1つの方法です。
      パーパスを掲げるだけではなく、経営層が自らの言葉で「どんな役割を社会に果たすべきなのか」「何を目指すべきなのか」を語り、従業員へ伝えていくことが、全員が同じ目線と目標に向かう最初の一歩になるのではないでしょうか。

      プロモーションチーム 村上恵美

      筆者:プロモーションチーム ディレクター 村上恵美

      某音楽配信サイトのプロモーションチームに配属。サイト運営をしながら、主にアーティストのキャッチコピーなどライティング業務にも従事。ECサイトでは毎月100本の商品紹介文を作成し購買率の向上に貢献。2021年 「"はたらき"から、笑顔を」という会社のビジョンを熱く語る上司に魅了されスカイアークへ入社。SOLANOWAのシェア拡大に向け、Web、SNSなどのコンテンツ強化を中心に、プロモーション業務全般のディレクションを担当。

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