インナーブランディングの必要性と効果的な9つのアプローチ方法

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE
  • hatena
  • URLをコピー URLをコピーしました

Solanowa_Column_no49_image_main.jpg

雇用の流動化が進み、人材の流出を防止することが企業課題の1つだと言われています。
離職率を抑制するためにも、理念の浸透や社内コミュニケーションの活性化を通じて、従業員エンゲージメントを高める取り組みの重要性が高まっています。

そして、企業をより成長させるためには、顧客に向けたサービスだけではなく従業員のモチベーションを向上することも必要です。
企業価値を高めると同時に、従業員のエンゲージメントやモチベーションに対する意識を変えるために「インナーブランディング」に注力したいと考えている企業が増加しています。

そこで今回は、インナーブランディングについて、目的やメリット、浸透するための施策などをまとめました

インナーブランディングとは

インナーブランディングとは、企業の理念やビジョン、価値観を企業全体に浸透させるために社内に向けて行う一連の啓蒙活動のことです。

SNSの普及で多くの人にさまざまな情報が届くようになり、企業と消費者が密接につながることができる時代です。
企業に関するイメージは、良い方向にも悪い方向にも広がりやすくなっています。
こうした中で、従業員一人ひとりの行動が世間からの企業イメージを決定づける、変化させる可能性があり、インナーブランディングで従業員の行動規範を企業内へ啓蒙することの重要性が高まっています。

インナーブランディングを促進するために、従業員に企業について知ってもらうべき点は、大きくわけて以下の3点です。
 ・企業の理念

 ・企業が掲げている目標やビジョン
 ・企業価値、企業ブランド
企業の理念や目標、ビジョンは掲げているだけではインナーブランディングを促進することはできません。理念やブランド価値をしっかりと従業員に浸透させ、具体的な行動に落とし込むことが必要になります。
前述の3点を意識して啓蒙活動を行うことで、インナーブランディングの効果が発揮されやすくなるでしょう。

インナーブランディングの目的

インナーブランディングの目的は、「企業やブランドが掲げる理念や目標を実現するために、必要な行動を従業員一人ひとりが自分ごと化すること」です。
従業員が自ら進んで企業理念やブランドコンセプトに基づいた行動を行うことで、その結果として、理念の実現や目標達成、ブランドが目指す価値を体現することが可能になると言えます。

例えば、高級ホテルで知られるリッツカールトンでは、「ゴールドスタンダード」と呼ばれる6つの企業理念をもとにサービスを提供しています。
その中に「サービス・バリューズ」という理念があり、"リッツカールトンの一員であることを誇りに思う"ことを中心とした12のサービス指針が定められています。
こうした指針を継続的かつ長期的に従業員へ発信し浸透させることで、主体的な行動を促しているそうです。

このように、企業が目指す理念やビジョンを実現するには、従業員がその真意や価値を理解し、主体的な行動で体現していかなければなりません。

従業員一人ひとりが理念を体現することでシナジーが生まれ、ブランド価値を高めて企業が目指す姿を実現すること。
それがインナーブランディングの目的だと言えるでしょう。

エクスターナルブランディングとの違い

インナーブランディングと似た言葉に「エクスターナルブランディング」があります。
インナーブランディングは社内に向けて行うブランディングで、エクスターナルブランディングは外部に向けて行うブランディングとなり、対象や目的など違いがあります。

目的が異なる
インナーブランディングの主な目的は、従業員に企業の理念や価値観を共有・理解してもらうことです。
対して、エクスターナルブランディングの目的は、製品やサービスを顧客や消費者に購入してもらうことにあります。

対象者が異なる
インナーブランディングの対象は、自社の従業員や家族などを中心としたステークホルダーに向けて行われます。
対して、エクスターナルブランディングは、主に消費者や顧客に向けて行われます。

メッセージの方向性が異なる
インナーブランディングで発信するメッセージは、企業の理念やビジョンを浸透させるための文脈で語られます。
対して、エクスターナルブランディングは、企業や製品・サービスのブランドを広く周知するための文脈、すなわち「ブランドから連想されるイメージ」を中心とした文脈で発信されます。

啓蒙するための手段・媒体が異なる
インナーブランディングは、社内向けの発信となるので、社内報やメール、資料や掲示版などを中心に発信され、ネットやSNS上での発信はあまり多くありません。
対して、エクスターナルブランディングは、対象者が消費者や顧客といった外部の不特定多数の人々のため、さまざまな手段と媒体を用いて発信やPRを行います。

インナーブランディングのメリット

インナーブランディングを行うことで得られる具体的なメリットや効果として、以下のような点が期待できます。
 ・従業員エンゲージメントが高まる
 ・連帯感が生まれる
 ・業務効率化と生産性の向上
 ・従業員のモチベーションアップ
 ・人材定着率の向上
 ・採用力の強化
 ・社外におけるブランド力の向上
 ・コンプライアンスリスクの抑止

・従業員エンゲージメントが高まる
自社の企業理念やミッション、ビジョン、目的などを共有することで、自分が企業の一員であると従業員に認識してもらえます。
自分が所属している企業は価値があると感じられると、自社に対するロイヤリティ(忠誠心)や愛着が高まり、結果として従業員エンゲージメントが高まります。

・連帯感が生まれ
インナーブランディングによって理念や価値観を共有することで、従業員が同じ方向を向いて働けるようになるため、企業として一体感や連帯感が生まれます。
お互いをフォローし合いながら、心理的安全性も高めていくことが期待できます。

・業効率化と生産性の向上
従業員が同じ方向を向いて働き一体感や連帯感が生まれると、相互コミュニケーションも活発になり、目標達成に向けて全員が一丸となって取り組めるようになります。
結果として、企業全体で業務が効率化され生産性も向上するでしょう。

従業員のモチベーションアップ
インナーブランディングの浸透により生産性が向上し、目標達成ができるようになると、従業員に自信が生まれます。
自信がつくことで従業員のモチベーションもアップし、企業の雰囲気が明るく活発になることが期待できます。
次の目標達成や新たな課題に対しても、従業員自らが自分ごと化して率先して行動できるようになります。

人材定着率の向上
インナーブランディングにより従業員エンゲージメントやモチベーションが高まると、自社に対する信頼感も高まるため、人材定着率の向上にも寄与します。
自社に魅力を感じている状態であれば、退職する人も減り、従業員の定着率向上につながります。
人材が定着するようになれば、社員教育の体制も整い、教育の質も上がり、目標達成へのスピードも早くなることが期待できます。
採用コストの削減にもつながるため、資金や従業員数で大企業と比較されがちな中小企業にこそ、インナーブランディングは必須といえるでしょう。

・採用力の強化
インナーブランディングの効果で、従業員が企業に対して魅力を感じている状態では、自社の従業員が友人や知人に積極的に勧めやすくなり、リファラル採用の強化が期待できます。
また、自社の魅力や価値を正しく理解して求職者に伝えることができるようになるため、自社のカルチャーにフィットした優秀な人材を採用できるようになります。

・社外におけるブランド力の向上
インナーブランディングにより、自社の理念やブランドについて従業員の理解が深まります。
特に新入社員の場合は、企業価値やブランドについて把握できていないことが多く、長年勤めている従業員であっても、認識が間違っているケースがあります。
継続してインナーブランディングを行うことが大切です。
従業員の理解が深まり、自発的に企業に貢献するようになると、おのずと自社のサービスや商品の質が向上します。
サービスや商品の質が向上することで顧客満足が高まり、インナーブランディングだけではなく、外部へ向けたエクスターナルブランディングも推進することができます。
結果として、顧客や消費者が企業に対して良い印象を持つようになり、社外のブランド力向上につながるでしょう。

・コンプライアンスリスクの抑止
インナーブランディングの重要性が高まった背景の1つがコンプライアンスだと言われています。
コンプライアンスを遵守するためには、監視や管理を強化することにシフトしがちです。
しかし、徹底管理するだけでは、従業員がその企業で働くことの意味や愛着心、信頼感などを見出すことが困難です。
そこで、企業に愛着を持って働くことの重要性が見直されると同時に、インナーブランディングに注目が集まりました。
つまり、コンプライアンスリスクを避けるための方法が、監視や管理ではなく、従業員自らの積極的なコミットメントを軸にしたものへと変化したと言えるでしょう。
インナーブランディングによって、共同性の高い組織になると、企業を守ろうとする意識が芽生え、一人ひとりが自然とコンプライアンス違反を避けるようになります。

インナーブランディングのアプローチ方法

インナーブランディング活動にあたり、社内へのアプローチ方法にはさまざまなものがあります。
代表的なアプローチ方法を以下にまとめました。
 1:クレド
 2:トップメッセージ
 3:社内報
 4:ポスター
 5:社内イベント
 6:ワークショップ
 7:サンクスカード
 8:社内SNS
 9:1on1

  1. クレド
    クレド(Credo)とは、企業全体の従業員が心がける信条や行動指針のことです。 
    ラテン語で志・信条・約束を表す言葉が語源になっています。
    クレドを作成し、従業員がいつでもクレドを見返せる状態にすることで、企業理念などを浸透させる方法です。
    クレドを携帯できるようにしたものを「クレドカード」とよび、インナーブランディングのアプローチ法として広く知られています。

  2. トップメッセージ
    トップメッセージとは、経営者(トップ)が企業をどうしていきたいと考えているのか、その中で従業員にどんな行動を望んでいるかを伝えるものです。
    トップ自らの言葉で企業の未来像を伝えることで、目指すべき方向性やビジョン、企業の姿勢を理解することにつながります。
    トップメッセージは、全社集会などで語られる場合や、社内報などを通じて文章や動画で定期的に発信したり、社内ブログなどでトップ自らで日常的にメッセージを投稿する場合などがあります。

  3. 社内報
    前述のトップメッセージやミッション・ビジョン・バリューを共有したり、企業理念やクレド、IR活動などさまざまな情報を周知することができる社内報は、インナーブランディングの有効なアプローチ法の1つです。
    経営陣の想いや従業員への感謝の気持ち、顧客・消費者からの感謝の声などを掲載すると、相互理解が深まり、インナーブランディングの向上につながります。
    紙のイメージが強い社内報ですが、リアルタイムで情報伝達が可能で、情報をアーカイブすることもでき、従業員がコメントしたりリアクションができるWeb社内報もおすすめです。
    社内報を読んでもらうためには、企業から従業員へ一方的に情報を伝えるのではなく、従業員にインタビューしたり、コメントなどで意見が書き込めるようになると、関心をもってもらいやすくなります。

  4. ポスター
    企業に愛着を持ってもらうために、オリジナルのポスターを作る方も多くの企業で実施しているアプローチ方法です。
    ポスターをただ掲示するのではなく、従業員の目にとまるようなデザインやわかりやすいメッセージを考案する工夫が必要です。
    中には、有名なデザイナーや写真家・漫画家などにポスター作成を依頼したり、自社キャラクターなどを載せて、従業員の興味や関心を高めている企業もあります。

  5. 社内イベント
    社内イベントにはさまざまな方法がありますが、表彰式、周年イベントを筆頭に、社内のコミュニケーションを促進させるための懇親会やサークル活動などがあります。
    社内イベントは、経営陣や従業員が一堂に会する絶好の機会です。
    その場で企業理念やミッションビジョンバリューに関する話、従業員に対する感謝の気持ちなどを自然な形で伝えることができます。
    従業員の企業に対する理解度が深まり、愛着心が芽生えたりエンゲーメント向上につながります。

  6. ワークショップ
    全従業員を巻き込むアプローチ方法として、ワークショップが有効です。
    従業員同士で業務の話や雑談を交わすことはあっても、企業の理念や在り方について話す機会はなかなかありません。
    ワークショップを通じて、企業の理念や在り方について他の従業員とディスカッションすることで、従業員一人ひとりの考えをクリアにしていくだけでなく、自分ごととして捉えることができるようになっていきます。
    ワークショップを効果的に取り入れていくことで、インナーブランディングを推し進めていくことができるでしょう。

  7. サンクスカード
    サンクスカードは、日頃の感謝の気持ちを従業員同士で送り合うことです。
    普段はなかなか面と向かって伝えられない感謝の言葉を「サンクスカード」で形に残すことで、従業員同士のコミュニケーション活性化や、お互いの信頼関係の構築を促す効果があります。
    こうしたポジティブな想いを伝え合う取り組みは、企業内で従業員同士の横のつながりを強化することが期待できます。

  8. 社内SNS
    インナーブランディングをするためには社内全体のコミュニケーション活性化も必要です。
    チャットツールやオンライン会議システムなど、さまざまな社内コミュニケーションツールを活用することで、コミュニケーションだけでなく業務上で必要になる連絡も円滑になるでしょう。
    また、より気軽に双方向でコミュニケーションを活性化するためには、部署や所属をまたいで交流ができるSNSもおすすめです。

  9. 1on1ミーティング
    多くの企業で取り入れられている1on1ミーティングも、インナーブランディングの効果的なアプローチ方法です。
    評価を目的とした面談ではなく、メンバーが感じていることや悩みなどを上司と共有する機会と捉えられています。
    普段はなかなか上司に対して言いたいことが言えない場合が多く、結果的に企業に対する不満や不信となり、離職へとつながります。
    本音で話せる機会を設けることで、心理的安全性を高めることにつながり、従業員のエンゲージメントやモチベーションをあげることが期待できます。

まとめ

インナーブランディングとは、企業理念やビジョン、価値観を企業全体に浸透させるために社内に向けて行う一連の啓蒙活動のことです。
インナーブランディングの目的は、「企業やブランドが掲げる理念や目標を実現するために、必要な行動を従業員一人ひとりが自分ごと化すること」です。
インナーブランディングによって、従業員一人ひとりが自社の魅力を知ることができれば、愛着心が湧き、従業員エンゲージメントも高まります。
従業員が自社で働くことに価値を見出すことができれば、自ずと商品やサービスの質も上がり、顧客満足度も向上するでしょう。
インナーブランディング活動にあたり、社内へのアプローチ方法には、クレドや社内報、トップメッセージやワークショップなどさまざまなものがあります。
どの方法も長期的に行うことが、インナーブランディング浸透に欠かせません。

弊社が提供するWeb社内報アプリ『SOLANOWA』は、リアクション機能を活用して双方向コミュニケーションを活性化したり、トップメッセージを音声や動画で配信したり、より伝わりやすいコンテンツを増やすことができます。
従業員に自社を好きになってもらい、自社で働くことに誇りを感じられるようにインナーブランディングを強化したいとお考えの方は、ぜひお問い合わせください。

プロモーションチーム 村上恵美

筆者:プロモーションチーム ディレクター 村上恵美

某音楽配信サイトのプロモーションチームに配属。サイト運営をしながら、主にアーティストのキャッチコピーなどライティング業務にも従事。ECサイトでは毎月100本の商品紹介文を作成し購買率の向上に貢献。2021年 「"はたらき"から、笑顔を」という会社のビジョンを熱く語る上司に魅了されスカイアークへ入社。SOLANOWAのシェア拡大に向け、Web、SNSなどのコンテンツ強化を中心に、プロモーション業務全般のディレクションを担当。

お役立ち資料

社内報制作ガイドブック

社員が読みたくなる社内報をコンセプトに制作ガイドブックを用意しました。ダウンロード数1位の人気eBookです。

社内報コンテンツアイデア100選

社内報のコンテンツネタに悩んだときのヒントになるアイデア100選を8つのテーマに分けてご紹介いたします。

Web社内報のメリットと効果

人気のコラム「導入事例から見るWeb社内報のメリットと効果」シリーズを総集編として一冊にまとめました。

エンゲージメントを高める7つの方法

なぜ社員のエンゲージメントが重要視されるのか?時代背景から課題や7つの施策までを一冊にまとめたeBookです。

人気の福利厚生!事例100選

人気の福利厚生!事例100選

働きやすい会社の秘訣とは?従業員満足度向上に効果的な福利厚生のアイデアと事例100選をご紹介します。

人的資本経営を学ぶ!事例32選

人的資本経営を学ぶ!事例32選

人材と企業の価値を上げていく人的資本経営とは何か?メリットや人的資本の情報開示の成功事例などをまとめました。

3分でわかる!サービス資料

移動中や休憩の合間などちょっとした隙間時間でもご覧いただけるよう、かんたんなサービス資料を用意しました。

ユーザー事例大全集

業界や社員数を問わず導入企業が抱える課題や導入効果をまとめた導入事例集を一括ダウンロードしていただけます。

一覧を見る