エンゲージメントを向上させるタレントマネジメントについて

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ニューノーマルな働き方が推奨される一方で、企業はある悩みを抱えるようになったと言われています。その悩みとは「従業員のマネジメント」です。
テレワークが急速に普及したことで、出社時と比較して従業員の働きぶりが見えずマネジメントに支障を感じるという声が上がっています。コミュニケーション不足によるチーム力の低下だけではなく、個人の能力を発揮できていないことによるモチベーションの低下などを危惧する企業が増加しているそうです。
こうしたコミュニケーション不足をきっかけとして従業員エンゲージメントが低下することに危機感を感じ、社内報や社内SNSを筆頭に双方コミュニケーション活性化を促進するツールの存在が改めて見直されています。
そして、このコミュニケーション課題を解決に導く1つの方法として、再び注目を集めているのが「タレントマネジメント」です。

    タレントマネジメントとは

    「タレント」と聞くと芸能人や有名人を想像しますが、もともとの英語の意味は「才能」や「能力」のことです。タレントマネジメントとは、従業員が持つ能力やスキルといった資質(=タレント)を把握
    し、パフォーマンスが最大限に発揮できるように戦略的な人材の配置や教育などを行うことを指します。
    ここで言う「タレント」とは、優秀な人材や専門知識を持つ人材だけではなく、新入社員から役員クラスまで、その企業で働く全従業員が対象です。
    タレントマネジメントは「転職が当たり前」と言われるほど人材の流動化が激しいアメリカで、優秀な人材の定着を目的として1990年代に提唱され始めました。年功序列型が主流であった日本の組織づくりでは、個人の能力や適正より企業の評価や方針を優先し従業員はそれに合わせるという考え方でした。
    こうした従来のやり方では従業員のモチベーションが低下し、エンゲージメントが向上せず、企業が弱体化してしまいます。
    そこで、従業員が能力を発揮できる環境づくりが重要視されるようになりました。タレントマネジメントで適材適所な人材配置を行うことで、従業員が充実や貢献を感じ、結果としてエンゲージメントを高めることができます。

    タレントマネジメントが注目される背景

    日本では終身雇用制度と年功序列により、1つの企業に勤め上げるのが当たり前の時代が長く続いていました。そして時代が変化し、終身雇用制度の崩壊や働き方改革などにより就労に関する価値観が変わり、日本でもタレントマネジメントの概念が注目されるようになりました。
    タレントマネジメントが注目される背景として、主に以下の4点が挙げられます。

    1. 少子高齢化に伴う労働力人口の減少
      世界規模で進む少子高齢化ですが、その中でも日本は特に少子高齢化が深刻化しています。日本全体で労働者が不足し経済にも多大な影響を与えています。これまでのように新卒一括採用のみで人材を確保することが困難になり、人を増やすことで成果も増やすという考え方が立ち行かなくなりました。今いる従業員でより多くの結果を出すという意識に移行しつつあります。優秀な人材の確保が難しくなり、従業員の離職を防ぐことが重要だとタレントマネジメントが重視されるようになりました。

    2. グローバル競争と人材の多様化
      グローバル競争だと言われる現代では、企業に生き抜く組織力や競争力が不可欠です。
      海外諸国に比べ人材の流動化が遅く、年功序列や新卒一括採用といった形骸化した人事制度が企業から競争力を減衰させていると指摘されています。個人の能力=タレントに焦点を当てた組織づくりや企業戦略にシフトしていく必要性が高まったと言えます。また、現代ではグローバリズムが進み国内でも外国人従業員が増加しています。人材が多様化する中で従来の人材管理では通用しない問題が生じ、個々の能力を把握するためにもタレントマネジメントが重宝されるようになりました。

    3. 働き方改革の推進と価値観の変化
      現在進行形で国内で推奨されている「働き方改革」により、企業と従業員の意識が変化しました。かつて多く見られた長時間労働を美徳とする働き方よりも、ワークライフバランスが重視されるようになり、仕事にやりがいを求めたり、社会的な意義を大切に考える人が増えています。同時に働き方改革を実現するためには、企業活動における従業員の生産性の向上が不可欠です。従業員一人ひとりの能力を引き出すためにタレントマネジメントが注目を集めています。
      また、コロナ禍においてリモートワークが急速に浸透したことで、これまで同様の仕組みでは正しく仕事の評価ができないなど、従業員のマネジメントに課題を抱える企業が増加傾向にあります。この課題を解決するために本格的にタレントマネジメントを検討する企業が増えています。

    4. 技術革新や市場環境の変化
      これまで人材や評価に関する事柄は数値化することが難しいとされていました。HRテクノロジーの技術革新により可視化や数値化が可能となり、タレントマネジメントが実施しやすくなった点も大きいです。そしてIT時代と呼ばれる現代は、ITの発展に伴いビジネスモデルも変化し経営環境も変化し続けています。企業は今まで以上にスピード感を持ってさまざまな問題に対応する能力が必要です。市場の変化に対応するための経営戦略としても人材活用が不可欠であり、タレントマネジメントが注目されています。

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    経営理念や目標の実現へ。タレントマネジメントを行う4つの目的とメリット

    タレントマネジメントの最も重要な目的は、旧来の成果主義からの脱却にあると言えます。適材適所な人材配置のもとで、従業員一人ひとりがやりがいを感じながら個々のパフォーマンスを向上することで、結果として企業が掲げる理念の実現につながるとする考え方です。
    こうした経営目標や理念の実現に欠かせないものといえば、経営陣から従業員へ直接メッセージを送ることができる社内報の存在です。そして人材配置の指針となるタレントマネジメントを実施することによってもたらされるメリットは主に4つあります。

    1. 計画的な人材育成が可能
      従業員がどのような目標を持ち、どのようなスキルや経験を得たいと考えているのかを把握することで適切な育成が可能になります。目標に沿った業務や研修、フィードバックを行うことで従業員の意欲やスキルが向上し、結果として自社の業績向上へ繋がります。
      企業が求める人材像と現状とのギャップも見つけることができ、その差を埋めるための育成方法も検討できます。

    2. 人材の確保と調達
      タレントマネジメントを導入することで、組織内で埋もれてしまいがちな個人の潜在的なスキルや才能を発掘することができます。またタレントマネジメントは採用時にも役立ちます。従業員の能力を可視化し管理することで、業務の遂行に必要なスキルや能力、経験を定義づけることが可能です。それは採用時の基準を明確化することにより、雇用のミスマッチを防ぎます。

    3. 適材適所による業務効率化・生産性向上
      タレントマネジメントにより従業員のスキルや能力、経験を把握しておくことで、適材適所に人材を配置することができます。従業員のパフォーマンスを引き出すことができるため、業務効率化や生産性向上といった効果も期待できます。
      他にも、新規プロジェクトなどを立ち上げる際に最適な人材をアサインしやすくなり、スピーディーな事業展開が可能になります。

    4. 従業員のエンゲージメントを高め離職を防止
      従業員の能力を把握し明確な評価体制を実施することで、適切な評価が出来ることもタレントマネジメントのメリットの1つです。評価の基準が明確かつ適切であれば従業員のモチベーションを維持・向上させることができます。個人のパフォーマンスを発揮できる環境が整うため、離職の防止にも繋がります。

    タレントマネジメントを実施するための6つのステップ

    では、タレントマネジメントを可能にするためには何が必要なのでしょうか?
    具体的な進め方について6つのステップで解説していきます。

    1. 目的を明確にしておく
      注意しなければならないことは、タレントマネジメントは「人材を適材適所に配置するため」に行うものではないということです。それはあくまで実施することで得られる効果であり、前述にもあるようにタレントマネジメントは「企業の成長や目標を達成するため」に行うことが最大の目的です。タレントマネジメントの目的は、いわば事業戦略や理念に通じる部分でもあることを理解しておきましょう。
      企業の存在意義や果たすべき姿=ミッションであったり、実現したい未来や目標=ビジョンと関連づけてタレントマネジメントの目的を明確にすることが重要です。その目的達成に向けて組織づくりにはどんな資質(=タレント)を持つ従業員が必要であるか、自社の課題解決と企業文化に相応しい目的と目指す姿を決めておくようにしましょう。人材を適材適所に配置することが目的となってしまうと、企業の成長やミッション&ビジョンの達成には近づくことができなくなってしまいます。

    2. 現状の課題を洗い出す
      タレントマネジメントの目的を明確にしたら、次は現状の課題を把握する必要があります。企業のミッション&ビジョンの達成を妨げている人事面での課題に着目し、タレントマネジメントを行います。課題の全てを即時に解決することは困難ですが、優先順位をつけて取り組むことで効率よく課題解決を進めていけるようになります。

    3. タレントの把握・従業員の情報を見える化する
      タレントマネジメントを活用して課題解決を進めるためには、まず従業員の情報を可視化=見える化します。氏名、経歴、資格、配属、評価結果、キャリア志向、など人材データの集約が必要です。このような人材データがなければ、企業の現状が把握できず課題も見えてきません。人材データの集約には自社に合う人事管理システムなどを見直してみましょう。

    4. 必要な人材を採用したり適材適所に配置する
      従業員の情報を可視化したら、人事戦略で必要な人材と現状を整理しましょう。今いる人材で解決が出来ればスムーズですが、多くの場合は戦略と理想に対するギャップが存在します。
      このギャップを埋めるべく今いる人材を適材適所に配置したり、理想の状態へ教育するための計画を立てましょう。自社にいない人材が必要だったり教育に時間をかけられない場合は、新たに外部から採用活動を行います。
      また、このとき強引な配置転換などを行えば従業員が拒否反応が起こしモチベーションが低下してしまうので注意が必要です。従業員が心理面でも受け入れやすくなるよう、タレントマネジメントの周知や説明を行うと効果的です。

    5. 人材を評価する
      配置転換や採用を経て新たな組織編成の成果を評価します。個人の貢献度や想定した能力を発揮できているか、スキルが向上しているか等が指針となります。
      同時にモチベーションの増減に変化がないかもチェックすることが欠かせません。企業の業績と成果を照らし合わせるだけではなく、従業員一人ひとりのキャリア志向や仕事に対する考え方などもしっかりと確認しておくことが大切です。
      上司と部下による定期的な面談(1on1)などがその代表例として挙げられます。また、この評価時に得る情報が今後の人材配置の判断材料となります。ステップ3で可視化した情報と合わせてしっかり蓄積しておくようにしましょう。

    6. データの管理と改善策を実施しPDCAを回す
      ステップ5で得た評価結果を元にタレントマネジメントの練り直しを行います。個人の成長や業務における能力に不十分なところがあれば、研修や教育の実施などでフォローアップしましょう。
      多くの場合、一度で計画通りに全て上手く行くことはありません。上手くいかない部分を見つけ出し、次はどうすべきかのPDCAサイクルを回すために、1から6までのステップを繰り返し実施していくことが重要です。

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    エンゲージメントを高めるタレントマネジメントへの注意点

    タレントマネジメントを実施することで経営目標や理念の実現が可能になると同時に、従業員のエンゲージメントを高めることができます。「タレントマネジメントがしたい」ためにタレントマネジメントを行う、という目的のための施策にならないように注意しましょう。
    それでは、どんな点に注意すべきか3つのポイントで締めくくりたいと思います。

    1. 自社に合う方法で実施する
      HRテックの発展により、現在ではさまざまなタレントマネジメントシステムが存在します。どのシステムにもメリット・デメリットがあり、精査せず導入してしまうと却って工数や手間が増えてしまいかねません。従業員数や業種、自社のニーズを満たすシステムであるか人事戦略なども踏まえた上で自社に合うシステムや方法を検討しましょう。

    2. 改善を繰り返す
      タレントマネジメントに限らず「計画を立ててひと通りやれば成果が出る」ということはまずありません。前述の6つのステップを軸に、データ収集と改善を繰り返し行うことでタレントマネジメントは初めて成立します。とは言え、データ収集だけ頻発したり、改善だけに力を入れすぎたりと、偏りすぎても意味がありません。事業年度と照らし合わせて、四半期や半期など適切なタイミングでタレントマネジメントを振り返り、評価と改善を繰り返しましょう。

    3. 正確なタレントの把握と管理を徹底し、理解を啓蒙する
      タレントマネジメントを行うためには、従業員一人ひとりの能力やスキル=タレントを正確に把握することから始まります。タレントの把握と管理が正確でなければ人事戦略そのものが崩れてしまいます。タレントの情報を管理し共有ができていないと、人材配置や社員教育でミスマッチやギャップが生じてしまうことに。また、タレントマネジメントに対して理解がない従業員は情報収集に非協力的になることがあります。なぜ行うのか、従業員にどんなメリットがあるのかなどタレントマネジメントに対する理解を深める啓蒙が欠かせません。「従業員が自分にあう場所で力を発揮できる環境」を企業が重要視していることを、全従業員に伝えていきましょう。

    まとめ

    タレントマネジメントを成功させるために有効な手段として、上司が従業員一人ひとりと話すことで課題や目標を共有していく「1on1ミーティング」があります。こうした「個」に向けた取り組みと並行して、「全従業員」が目標に向かって足並みを揃えるためには、企業が掲げる経営理念やビジョンの浸透を促す必要があります。
    そこで大きな役割を果たすのがWeb社内報です。
    例えば、コメント機能やアンケート機能を搭載したWeb社内報を導入することで、従業員の考えを広くキャッチできるようになり、トップダウンになりがちな理念浸透やコミュニケーションを双方向へ活性化することができます。
    同時に、Web社内報でリアルタイム配信をすることで、タイムラグを失くして全社へ向けて情報を周知できるようになり、従業員間の情報格差を解消することに繫がります。従業員が「情報を知らなかった、知らされていない」と感じてモチベーションが低下してしまうマイナス要因を解消し、拠点やグループを持つ規模の大きな企業では「互いのことがわからない、無関心になりがち」な組織力が弱体化する状況を改善できるメリットがあります。
    実際に弊社Web社内報サービス「SOLANOWA」を入口として、国内に限らず海外拠点とのコミュニケーション活性化を実現した企業からの嬉しい声も届いています。

    経済はまだ混沌とした状況の中にいます。終息が見えないコロナ禍で、企業もそして働く従業員も、目標やモチベーションを失い足元が揺らぎがちです。経済的な困難を乗り越えていく力は、企業が生き抜く力でもあります。その力の源となるのは、そこで働く従業員一人ひとりの力に他なりません。
    働くことで成長や貢献を実感でき、エンゲージメントが高まることで個々の力を発揮していけるように、強い組織づくりが不可欠です。経営目標の達成と自社の人材を埋もれさせないためにも、タレントマネジメントから組織づくりを見直してみるのもいいかもしれません。

    プロダクト事業部 マーケティンググループ 村上恵美

    筆者:
    プロダクト事業部 マーケティンググループ 村上恵美

    Web業界へ転職後、2010年より音楽配信サイトの編集チームに配属し、各レコード会社のアーティスト紹介のキャッチコピーの考案や、楽曲の紹介文作成などライティング業務に従事。2015年より、BtoC向けECサイトのセールスライターとして、月100本の商品紹介文を作成し、CVR7%の維持に貢献。2021年に株式会社スカイアーク入社。マーケティンググループ/プロモーションチームに配属し、現在は自社の中核製品となるWeb社内報プラットフォーム「SOLANOWA」の認知度向上に向けたインターナルコミュニケーション領域に関するコラム執筆や、FacebookやTwitterをはじめとしたSNS運用など、主にプロモーション業務全般を担当する。