コラム

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社内ラジオで「聴く」コミュニケーションへ

2021年の初頭に突如巻き起こった音声SNSブームは記憶に新しいところではないでしょうか。アメリカ発の音声SNSアプリ「clubhouse」は、招待制というプレミア感も相まって瞬く間に話題を独占しました。このまま投稿系SNSから音声SNSの時代に突入するかと思われましたが、熱狂は一時的なものとして収束へ向かいました。

そしてこの音声SNSアプリの登場は、日本で新たに音声市場を開拓したと言われています。何より一番の大きな変化は「聴く習慣」が広まったことです。

もともと日本はPodcastなどが大流行した欧米諸国に比べて「聴く」習慣や文化がそれほど根付いていませんでした。島国の日本とは違う広域な国土を持つ欧米では、車移動が主流のため、移動時に運転しながらラジオなど音声を聴いて楽しむ人が多いのです。中でもアメリカのラジオ局の多さは世界でも有名で、その数は全米では1万4,000局を優に超えています。

日本では古くからラジオが親しまれていたものの、ラジオよりテレビに重きが置かれているのが現状でした。奇しくもコロナ禍でニューノーマルな働き方が推奨され、テレワークが普及したことが「聴く」習慣に変化をもたらしました。長時間のデスクワークによる目の疲れや、黙々と業務を続ける環境での集中力の欠如などから「聴く」ことでリフレッシュを求める人が多くなったと考えられています。また、これまで何気なく職場で交わしていた雑談がリモートワークにより減少したことで、コミュニケーションが不足しチームワークの低下など影響を懸念する声も上がっています。

そんな中、コミュニケーション不足を解消し、インナーブランディングの強化にもつながるコンテンツとして、社内報の運営と合わせて「社内ラジオ」を始める企業が増えています。そこで今回は音声メディアや社内ラジオがコミュニケーションに与える影響や、もたらす効果について考えてみました。

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ながら聴きと集中力の関係

先ほど「聴く」習慣が広まった背景としてテレワークを挙げましたが、何かを聴きながら仕事をすることで余計に業務に集中できなくなるのでは?と疑問を持たれる方も多いかと思います。アメリカのプリンストン大学の研究結果によると、人は無音に近い静かな環境よりも、50〜70デジベル程度の音が聴こえる場所で作業する方が、脳が効率的に働くという結果が出ています。

50デシベル程度というのは静かな喫茶店くらいのレベルに例えられていて、カフェで勉強すると捗るという、あるある話の裏付けとも言えます。オフォスであれば周囲の人が無意識に立てる音が、自然と無音状態を作らないことで、集中しやすい環境だったと言えるのではないでしょうか。テレワーク環境下ではそういった周囲の雑音が一切入らず、自分のペースで仕事ができる利点はあるものの、いまいち思うように集中できない理由は無音状態にあるかもしれません。

もちろん好きな音楽を終始ずっと大音量で流しながら、というのは脳が好きなものを意識してしまうため集中力が分散するそうなので注意が必要です。作業用BGMには水のせせらぎや鳥の鳴き声など自然音がベターですが、社内ラジオのようないい意味で集中して聴こうとせずとも聴き流せる音であれば、作業を妨げる原因にはならないと言えるでしょう。静かすぎて集中できない、という悩みに一役買えるのが音声配信ならではの強みでもあります。

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音声メディアの3つのメリット

社内ラジオをはじめとした音声配信・メディアを活用するメリットは主に3つあります。従来の社内報と並行して取り入れることで、相乗効果が期待できそうなメリットばかりです。

  1. 伝えたいことをストレートに伝えられる
    音声配信は、スピーカー(話し手)の熱量や口調などテキストでは伝えきれない感情や温度感を伝えることができます。その場の雰囲気や臨場感も伝えられるので、本当に伝えたいことがリスナー(聞き手)にストレートに伝えられます。

  2. 本人性により人柄や親しみやすさも伝えられる
    音声は動画より伝わる情報が少ないと捉えられがちですが、そうではありません。話し声というのは簡単に複製ができない情報の1つで、その人らしさ「本人性」が強く出るものです。電話越しでも相手の話し方や声のトーンから気分や雰囲気が伝わってくる、というのがその例です。声には多くの情報が含まれているので、スピーカーの考えや想いがリスナーにダイレクトに伝わり、リスナーからの共感を高める効果があります。

  3. 手軽に始めることができる
    音声メディアは音声の収録からコンテンツ制作がスタートします。敷居が高そうに見えますが、音声だけなら動画のように細かいカット割りや構成などを決めなくても収録が可能で、編集も比較的容易です。ラジオはマイクに向かって話すだけなので、気軽に発信できます。また、インタビューなどを記事にする場合は文字起こしなどが発生しますが、音声ならその場で話しながら生放送で配信することも可能です。音声配信は動画やテキストによる情報発信よりも低コストで手軽に制作から配信まで進められます。

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音声メディアの使いどころは?

では、具体的に音声メディアを社内報の運営と並行して、どのように取り入れていくと効果的でしょうか。ここでは3つの方法をピックアップしていきます。

  1. 情報発信ツールとしての活用
    音声メディアは、上記の3つのメリットで触れたように動画やテキストとは違う良さがあります。スピーディーに臨場感を持って伝えられる利点を情報発信ツールとして活用することができます。場合によっては、音声配信サービスなどを利用することで外部に向けて企業の情報を発信することも可能です。自社の社員以外にも企業を知ってもらう機会を創出することができます。

  2. インターナルコミュニケーションのツールとして活用
    音声メディアであれば、好きな時に「ながら聴き」ができます。何かをしながら、それが業務の最中でも手を止めることなく聴くことができるのは音声メディアだけのメリットです。スピーカーの人柄も伝わることで、次第に企業への愛着も湧いてきます。対面では話せる人数に限りがありますが、ラジオであればマイクに向かって話すだけなので気軽に発信することができるのもメリットです。社長や代表がスピーカーを務める社内ラジオを運営する企業が増えているのも、経営陣と社員の距離を縮める狙いがあることが伺えます。企業理念の浸透や事業計画なども、聴くことでより社員が自分ごととして受け止めて身近に感じることができます。また、アーカイブとして音声メディアを残しておくことで、新入社員に向けた企業広報の役割も果たします。過去の音声配信を遡って聴くことで、その当時の空気を感じ取ることができ、追体験に似た感情によりチームの一員としての自覚を促す効果が期待できます。

  3. 社員同士のコミュニケーションの場として活用
    社内ラジオの場合はリスナーでもある自社の社員に出演してもらうこともできます。オンラインではなかなか話せない遠方の社員や支社とも、ラジオであればオンラインで会話をすることが可能です。時にはリスナーである社員からお便りを募集したり、従来の紙の社内報だけではできなかった社員同士のコミュニケーションを活性化させることができます。


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    社内ラジオ発信!の前に気をつけたいポイント

    音声メディアの代表格とも言うべき社内ラジオですが、番組を始めるにはどんなことに気をつけるべきでしょうか。これから始めたい人も、始めている人も、知っておくべき注意ポイントをまとめてみました。

    1. 目的や数値目標を決める
      まずは何のために社内ラジオを始めるのかを明確にしておきましょう。番組の目的やコンセプトを決めることで、どんな内容にするかも決めやすくなります。方向性がぶれないないよう目的を明確にするだけでなく、視聴数などの数値目標も決めておきましょう。達成できたか否かで番組の継続に向けた目標指針とモチベーションになります。

    2. 台本を用意する
      人気深夜ラジオのようにぶっつけ本番の生配信は、非常にハードルが高いと心得ておきましょう。台本の用意はいわば必須事項です。百戦錬磨のラジオパーソナティーですら、台本ありきで番組を進行しているもの。何もないところから話す、というのはかなり至難の業であり、アドリブ任せの進行は段取りが悪くなりリスナーを不愉快にさせてしまいます。生配信ではなく後で編集ができる収録番組でもそれは同じです。ある程度の大まかなものでもいいので、番組の流れと構成を用意しておきましょう。例外として、あえて台本なしの対談でお互いの本音を引き出すなど目的がある場合はその限りではありません。

    3. 配信時間帯に留意する
      ながら聴きできるのが社内ラジオの良さでもありますが、かと言って業務が立て込む始業や終業間際の配信は避けるのがベターです。せっかくなら、リスナーである社員にリラックスして聞いてもらいたいですよね。多数の社員が休憩に入るお昼休みの時間を狙ったり、土日休みの企業なら休みの前日となる金曜日を狙うのも1つの方法です。

    4. 視聴ハードルを下げておく
      社員に聴いてもらうためには、聴きやすい環境を用意することが不可欠です。PCやスマートフォン、タブレットなど異なるデバイスでも聴けるような環境や、操作が難しくないツールを選択しましょう。アーカイブを用意したり、社員に聴きたいと思ってもらえるように負担をかけない工夫が必要です。

    5. 社員を巻き込み盛り上がりを演出する
      社内ラジオは一人で運営することはほぼ不可能です。運営メンバーやサポート体制を整えてからスタートしましょう。スピーカーが固定してしまうと、途中からリスナーが飽きてしまう可能性があります。マンネリ防止の意味とコミュニケーション活性化も含めて、さまざまな部署の社員をゲストに迎えたり、社員を巻き込みながら社内ラジオを盛り上げましょう。生放送を行う場合は社内チャットツールで専用チャンネルを作るなど、リアルタイムの反応をチェックしながらできるだけ多くの社員が気軽にコンタクトできる場があると、より盛り上がれると思います。

    6. 巻き込むゲストに負担をかけない
      社員を巻き込んでこそ社内ラジオですが、番組ゲストとして迎える際に業務の妨げになってしまっては本末転倒です。負担をかけずに社員にゲスト出演してもらえる準備をしておきましょう。台本を用意したり、事前に内容や段取りを伝えておいたり、収録に参加しやすい環境を用意することが必要です。

    7. 告知方法にも気を配ること
      せっかく番組を配信しても、社員に気付いてもらえなければ聴いてもらえないままです。決まった時間のレギュラー配信を行う場合でも、社内に告知を忘れないようにしましょう。SlackやTeamsなど社内の連絡ツールに専用のチャンネルを作ると運用しやすいです。

    社内ラジオで共に働くメンバーの声が聴けることは、リモートワークによる孤立感や閉塞感を緩和してくれる効果があります。実際に弊社のグループ企業でも社内ラジオが発足され、社員だけが聞けるラジオ番組を月一ペースで運営しています。テレワーク中でも離れている仲間の声を聴けることに安心感を覚えたり、気分転換にもなると社員から好評を博しています。
    春には新入社員がゲストで登場したり、福利厚生の一環で利用できる健康促進制度についての話題を取り上げたり、リスナーを飽きさせないようバリエーションに富んだ企画で心を掴み、放送を心待ちにする社員が増加中です。社員が聞きやすい時間帯に公開するだけではなく、アンケートで出た意見をもとに放送時間を見直すなど、常にブラッシュアップを行いながら運営を続けています。

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    社内ラジオきっかけでこれまであまり関わりがなかった社員の新たな一面を知ったり、それが会話のきっかけとなり社員同士のコミュニケーションが活性化することも期待できるでしょう。スピーカーの人柄をダイレクトに伝えられる音声メディアを上手に活用することで、企業文化や理念を浸透させたり、インナーブランディングにもつながります。紙とWebの社内報に続く新たな企業広報のツールとして、まずは社内ラジオを始めてみるのはいかがでしょうか?