コラム

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ニューノーマル時代を生き抜く「新しい働きかた」で次の標準へ

2020年に世界を震撼させた新型コロナウィルスの流行は、人々の生活を大きく変えました。「テレワーク(リモートワーク)」という新しい働き方が推奨され、広まり始めたことは記憶に新しいところです。テレワークは欧米諸国ではすでに導入されていた働き方ですが、IT環境の整備で遅れをとりがちな日本では、広まるのはまだまだ先だと言われていた矢先の出来事でした。

働く場所が変わり、マスクが手放せない生活が続き、密を避けるために大勢での会食はできるだけ避け、以前とはまるで違う日常を生きています。未だ終息が見えないコロナ禍で、私たちはどのように暮らし、働き、生活を続けて行けばいいのでしょうか?そんな中、関心を集めているのが「ニューノーマルな働きかた」です。

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ニューノーマルとは?

「ニューノーマルな働きかた」が推奨される今この時は「ニューノーマル時代」とも呼ばれ、実に多くのパラダイムシフトを引き起こしました。コロナ禍を境にして、よく聞くようになったこの「ニューノーマル(New Normal)」とは、そのまま直訳すると「新しい常態」という意味です。

実はこの言葉は「New(新しい)」と「Normal(正常、標準、規定、常態)」の2つの単語が融合して生まれた造語です。災害や不況など不測の事態により大きな変化が起こると、経済や社会は大きな打撃を受けます。そして事態が収束しても、以前と同じ状態へ戻ることは容易ではなく、あまつさえ不可能です。従来の常識や考え方には戻るのではなく、新しい常識にシフトチェンジして生活様式や経済などあらゆる活動をアップデートしていく状況を示す言葉です。東京都知事が掲げたことで一気にメジャーな言葉になった「新しい生活様式」こそが、このニューノーマルと言えるでしょう。

ちなみに過去にも「ニューノーマル」という言葉が用いられたことがあります。その始まりは2000年代初頭の世界中にネットが普及した頃だそうです。投資家のロジャー・マクナミー氏が用いた提唱では、本格的なネット社会が到来したことで今までのビジネスモデルや経済理論が通用しないニューノーマルな時代がくるというものでした。

その後、まだ記憶に新しいリーマンショック後の2009年にはエコノミストで知られるモハメド・エラリアン氏による第二のニューノーマルが提唱されました。金融危機から回復したとしても、根本的な課題を解決しない限りは元の社会には戻らないというものです。リーマンショック後には、世界中で意識改革が進み"資本主義社会から持続可能な社会へ"ニューノーマルな変革が進んだと言われています。

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ニューノーマルな働きかたの要は「オンライン化」

では、「ニューノーマルな働きかた」とはどんな働きかたを提唱しているのでしょうか?最も大きく、かつ重要な点として提唱されているのはテレワークを筆頭とした「業務のオンライン化」です。

オフィスに出勤することで懸念される3つの密(密閉・密集・密接)を回避すべく、自宅やサテライトオフィスで業務を行うテレワークが推奨されています。

また、出勤する際には通勤電車での三密回避ができるように、従業員が出社時間を調整できフレキシブルな対応ができるよう就業規則の見直しなども必要です。これまで対面が基本とされていた営業や商談も、リモート営業やオンライン商談など非対面での実施へ移行する動きがあります。政府が掲げた「リモートワーク目標7割」に向けて各企業や経済界では迅速な対応が求められています。

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    ニューノーマルな働き方で懸念される点とは?

    業務のオンライン化を軸に推奨されているニューノーマルな働きかたですが、反面ではデメリットにもなりかねない懸念すべき点もあります。主に2つの点に注意が必要です。

    1つ目は、オンライン化による情報管理などのセキュリティの問題です。会社貸与のPCや個人の端末などを利用して業務にあたるテレワークやオンライン商談では、当然ながらセキュリティに関するリスクが高まります。クラウドなどに自由にアクセスできてしまう環境では、第三者によるハッキングや情報漏洩を防ぐことは難しくなります。アクセス制限や貸与PCの管理ソフトなどを併用しながらテレワークに適したセキュリティ対策を行うことが必要不可欠です。

    同時にテレワークにあたる社員には、業務外のサイトへのアクセスや不要のソフトをむやみやたらとダウンロードして使用することを禁止するなど、セキュリティに対する意識を向上させることも大切です。端末の紛失や情報漏洩、不正アクセスなど、何か問題が起きた場合の対処方法を周知しておき、リスク管理とITリテラシー向上に向けた取り組みが欠かせません。

    2つ目は、コミュニケーションに関する問題です。オンライン化により対面や接触を減らす働きかたでは、今までと同じコミュニケーションが取れないことが多々あります。オフィスに出社していれば顔を合わせることで言葉を交わしながら確認できていたようなことも、オンラインではメールをしたり電話をかけたりというアクションが必要になります。特に多忙なときはそのアクションが面倒になり、疑問点などを確認せず自己解決で業務を進めてしまう場面も増えてくることが予想できます。

    社員間でのコミュニケーションが取れていないと、ケアレスミスが増えたりトラブルが発生する原因になります。結果として、チームワークが乱れることで生産性も低下し、従業員エンゲージメントも著しく低い企業になってしまいます。テレワークを実施・導入する場合は社員同士がスムーズにコミュニケーションが取れるようにチャットツールなどを活用すると良いでしょう。使用するオンラインツールを整備すると同時に、コミュニケーションの取りかたについてのルールを決めたり、社員の声を拾う機会を設けて問題点を改善していく取り組みが必要です。

    また、コミュニケーションが不足することで孤独感やストレスが高まるなどの理由で、モチベーションが低下してしまうことも懸念されています。チームのメンバーが顔を合わせる定期的なミーティングを実施したり、1on1ミーティングで積極的に上司と部下がコミュニケーションを取れる場を設けたり、または社員のモチベーション低下を防ぐことを目的に「Web社内報」を導入する企業も増えています。Web社内報は、コミュニケーション活性化を担うツールとして記事の配信だけではなく社内ポータルサイトのように展開したり多岐にわたって活用できるでしょう。

    ニューノーマル時代のニューノーマルな働きかたについて、社員も企業も関心を寄せてはいるものの、業務のオンライン化が進んでいるのはまだ一部というのが現状です。実施するにはIT環境を整備するだけではなく、セキュリティやコミュニケーションなど懸念すべき点があることもまた事実で、数日で移行ができる容易いものではありません。エッセンシャルワーカーを除いたオフィスワークの全てをオンライン化することは現実的ではないかもしれませんが、ニューノーマルな働きかたを実現するために企業が尽力することに社員は期待を寄せています。旧態依然なペーパー主義・対面絶対主義の業務を「強いられている」と社員が感じてしまうと、モチベーション低下の原因になり、結果として離職率を引き上げてしまうかもしれません。

    ニューノーマルな働きかたを実施できるのか?それは企業の規模や職種によって千差万別です。今よりももっと社員が士気高く働くことができる環境づくりを検討することは、従業員エンゲージメントを考える上でも重要です。

    時が経てば、また次の「ニューノーマルな働きかた」が生まれてくるかもしれません。その時に役に立つのは、今この時の経験であると思います。時代に流されるのではなく、時代を読んだ「働きかた」ができる企業が増えれば、社員はもっと幸せに働くことができるのではないでしょうか。