【広報向け】インフルエンサーマーケティングでのリスクを解説

インフルエンサーマーケティングは、現代のデジタルマーケティング戦略において不可欠な要素となっています。
特定の分野で影響力を持つ人物を通じて製品やサービスを宣伝するこの手法は、ブランドの認知度向上やターゲットオーディエンスとの強い結びつきを築く上で、その効果を発揮しています。
しかし、その成功例が豊富に存在する一方で、企業が直面する可能性のあるリスクも無視できません。
本記事では、インフルエンサーマーケティングにおける主要なリスクを徹底解説し、特に法律の観点からその対策について詳しく掘り下げます。
リスク管理の重要性を理解し、適切な対応策を講じることで、企業はインフルエンサーマーケティングのメリットを最大限に享受しつつ、潜在的な問題を回避することができます。

インフルエンサーマーケティングの基本理解

インフルエンサーマーケティングは、インフルエンサーと呼ばれる、特定の分野やテーマにおいて高い影響力を持つ個人を通じて、製品やサービスを推奨するマーケティング手法です。
インフルエンサーは、SNSを中心に大きなフォロワー基盤を持ち、彼らの推奨がフォロワーの購買行動に直接的な影響を与えることがあります。
この手法の魅力は、ターゲットオーディエンスに対して信頼性の高い方法でブランドメッセージを伝えられる点にあります。
しかし、インフルエンサーの選定ミスや不適切なコンテンツの共有など、予期せぬ問題が発生するリスクも伴います。

リスク1: ブランドイメージの棄損

インフルエンサーマーケティングにおける最も顕著なリスクの一つは、ブランドイメージの棄損です。
インフルエンサーによる不適切な行動や発言、またはブランドと相反する価値観の表明は、瞬く間にSNSを通じて拡散され、ブランドに対する消費者の信頼を大きく損なう可能性があります。
例えば、あるインフルエンサーが不適切な内容を投稿した場合、そのインフルエンサーをサポートする企業もまた、批判の対象となり得ます。

このようなリスクを最小限に抑えるためには、企業はインフルエンサー選定時に慎重な審査を行う必要があります。
これには、インフルエンサーの過去の投稿や公の場での行動、価値観や信念を詳細に調査することが含まれます。
また、インフルエンサーとの契約には、ブランドイメージを保護するための条項を明確に盛り込むことが重要です。
これには、不適切なコンテンツの投稿を禁じる規定や、契約違反が発生した場合の対応策などが含まれます。

さらに、企業はインフルエンサーと密接に協力し、共有されるコンテンツがブランドのイメージやメッセージと一致するように努める必要があります。
コンテンツの事前承認プロセスを設けることで、不適切なコンテンツが公開されるリスクを減らすことができます。
しかし、インフルエンサーのクリエイティビティを尊重し、彼らの個性がコンテンツに反映されるようにバランスを取ることも同様に重要です。

インフルエンサーマーケティングは、適切に管理されれば企業にとって大きなメリットをもたらす強力なツールです。
しかし、その成功は慎重な計画、適切なインフルエンサーの選定、そして継続的なコミュニケーションと監視にかかっています。
ブランドイメージの損傷というリスクを認識し、それに対処するための明確な戦略を持つことで、企業はインフルエンサーマーケティングの真の価値を引き出すことができるでしょう。

リスク2: 法律違反とその影響

インフルエンサーマーケティングにおけるもう一つの重要なリスクは、法律違反です。
特に、広告としての開示義務違反は、企業とインフルエンサー双方に重大な影響を及ぼす可能性があります。
多くの国では、消費者に対して広告内容を明確にすることが法律で義務付けられており、インフルエンサーが提供するコンテンツが広告である場合、その事実を明示する必要があります。
この開示義務を怠った場合、企業は法的な制裁や罰金、ブランドイメージの損失に直面することになります。

このリスクを回避するためには、インフルエンサーとの契約において、広告としての開示に関する明確なガイドラインを設定し、遵守を義務付けることが重要です。
また、企業はインフルエンサーに対して、適用される法律や規制に関する十分な情報とトレーニングを提供し、法的なリスクを最小限に抑えるべきです。

リスク3: ROIの不確実性

インフルエンサーマーケティングのROI（投資対効果）は、常に明確とは限りません。
インフルエンサーを通じてブランド認知度が向上したり、特定の製品に対する関心が高まったとしても、それが直接的な売上増加につながるとは限らないのです。
この不確実性は、企業がインフルエンサーマーケティングに投資する際の大きなリスクとなります。
ROIを最大化するためには、キャンペーンの目標を明確に設定し、それに基づいた適切なインフルエンサーを選定することが重要です。

また、キャンペーンの効果を測定するための具体的な指標を事前に定義し、定期的な分析を通じて戦略を調整する必要があります。
さらに、インフルエンサーとの長期的な関係を築くことで、時間をかけてROIを改善することも可能です。

リスク4: 偽フォロワーとエンゲージメントの問題

インフルエンサーのフォロワー数が多いからといって、必ずしもその影響力が高いわけではありません。
偽フォロワーや購入したフォロワー、不正な手段でエンゲージメントを操作しているインフルエンサーも存在します。これらのインフルエンサーを通じてキャンペーンを行うと、期待した効果が得られず、投資が無駄になるリスクがあります。
インフルエンサーを選定する際には、フォロワー数だけでなく、エンゲージメント率やフォロワーとの関係の質、コンテンツの質を慎重に評価することが重要です。
また、サードパーティのツールを使用してフォロワーの真正性を確認することも、リスクを軽減する有効な手段です。

リスク5: 契約上の問題と対応策

インフルエンサーとの契約に関連する問題も、企業が直面する可能性のあるリスクです。
契約条件が不明確であったり、インフルエンサーが契約を遵守しなかったりすると、キャンペーンの成果に影響を及ぼすだけでなく、法的な問題に発展することもあります。
このリスクを回避するためには、契約書にキャンペーンの目的、期待される成果、報酬、広告としての開示義務、著作権の取り扱いなど、双方の権利と義務を明確に記載することが重要です。
また、契約違反が発生した場合の対応策も契約書に盛り込むことで、トラブル発生時の対応をスムーズに行うことができます。

法律の観点から見たインフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングを取り巻く法的環境は、国や地域によって異なりますが、共通しているのは消費者保護と透明性の確保です。
広告としての開示義務は、消費者がコンテンツが広告であることを明確に理解できるようにするために重要です。
例えば、アメリカでは連邦取引委員会（FTC）がガイドラインを設け、インフルエンサーが提供するコンテンツが広告である場合、その事実を明示することを義務付けています。
日本でも、公正取引委員会がインターネット上の表示に関するガイドラインを発表し、同様の透明性が求められています。

企業は、インフルエンサーとの契約において、これらの法的要件を遵守することを明確にし、適切な開示が行われるようにする必要があります。
また、著作権や商標権などの知的財産権の扱いについても、事前に合意を形成し、契約書に記載することが重要です。
法的なトラブルを避けるためには、インフルエンサーマーケティングに関連する法律や規制についての十分な理解と、それらを遵守するための体制を整えることが不可欠です。

リスク管理とベストプラクティス

インフルエンサーマーケティングにおけるリスクを効果的に管理するためには、事前の計画と継続的な監視が必要です。
リスク管理のベストプラクティスには、以下のようなものがあります。

• インフルエンサーの選定
  インフルエンサーの選定プロセスには、過去の投稿や行動、フォロワーとのエンゲージメントの質などを評価することが含まれます。
  また、インフルエンサーの価値観がブランドのイメージと一致するかどうかも重要な判断基準です。
  
  
• 明確な契約書
  インフルエンサーとの契約書には、キャンペーンの目的、成果指標、報酬、法的要件の遵守、知的財産権の取り扱いなど、双方の権利と義務を明確に記載します。
  
  
• コンテンツの事前承認
  インフルエンサーが公開するコンテンツについて、事前に承認プロセスを設けることで、ブランドイメージに悪影響を及ぼす可能性のあるコンテンツを事前にチェックします。
  
  
• 法的要件の遵守
  広告としての開示義務や知的財産権の保護など、適用される法律や規制を遵守するためのガイドラインを設定し、インフルエンサーに対して十分な情報提供とトレーニングを行います。
  
  
• 効果測定とフィードバック
  キャンペーンの効果を定期的に測定し、インフルエンサーへのフィードバックを通じて、改善点を見つけ出し、戦略を調整します。

まとめ

インフルエンサーマーケティングは、適切に実施すればブランドの認知度を高め、ターゲットオーディエンスとの強い結びつきを築くことができる強力な戦略です。
しかし、この手法を利用する際には、ブランドイメージの損傷、法律違反、ROIの不確実性、偽フォロワーやエンゲージメントの問題、契約上の問題など、いくつかのリスクが伴います。
これらのリスクを最小限に抑えるためには、前述であげたポイントが重要です。

インフルエンサーマーケティングを成功させるためには、これらのリスクを事前に認識し、適切な対策を講じることが不可欠です。
リスク管理のベストプラクティスを実践し、法的要件を遵守することで、企業はインフルエンサーマーケティングのメリットを最大限に享受しつつ、潜在的な問題を効果的に回避することができるでしょう。

筆者：
プロモーションチーム　町田あや

新卒でHR業界へ入社し、キャリアアドバイザーとして企業と働く人の橋渡しに奔走。人材不足に悩む企業の採用ブランディングから、人材育成プログラムの構築、新人研修サポートまでさまざまな業務に従事。自身の可能性を広げるためTech系企業への転職活動をしていたところ「"はたらき"から、笑顔を」という経営ビジョンに共感してスカイアークに入社。HR業界で得た知見を活かしたコンテンツ制作などプロモーション業務を担当中。