コミュニケーション課題の解決策として、社内報を取り入れている企業が増えています。
しかしながら、思うような効果が得られないと悩む声も多く上がっており、その理由の1つとして考えられるのが、目的と手段が噛み合っていない事です。
企業と一言で言っても、さまざまな業種があります。
そして、業種の特長と合わせて、起こりやすいコミュニケーション課題には傾向が見られます。
社内報は、紙でもWebでも、目的があって発行されるものです。
業種の特長とその起こりやすいコミュニケーション課題を、どのように社内報でアプローチするのが効果的なのでしょうか。
コミュニケーション課題は企業のその規模や社風、社内報のターゲットなどによって変わってきますが、これまでの導入事例などから見えてくる、業種別の社内報制作のポイントをご紹介します。
目次
●社内報の4つの目的とは
1:情報伝達
2:従業員間のコミュニケーション活性化
3:従業員のモチベーション向上
4:理念浸透と企業文化の醸成
●企業におけるコミュニケーション課題とは
●業界によって起こり得る課題を社内報でどのようにアプローチできるか?
●製造業
・製造業の特徴
・製造業における社内報の目的・狙いとは?
・製造業向け社内報の制作ポイントを解説!
●小売業
・小売業の特徴
・小売業における社内報の目的・狙いとは?
・小売業向け社内報の制作ポイントを解説!
●サービス業
・サービス業の特徴
・サービス業における社内報の目的・狙いとは?
・サービス業向け社内報の制作ポイントを解説!
●IT業
・IT業の特徴
・IT業における社内報の目的・狙いとは?
・IT業向け社内報の制作ポイントを解説!
●まとめ
社内報の4つの目的とは
多くの企業が発行している社内報ですが、企業活動における社内報の役割とはどんなものでしょうか?
発行する目的は企業によってさまざまですが、その目的や意味を理解しないまま社内報を作っても、思ったような効果を生み出せないだけでなくコストそのものが無意味になってしまいます。
狙い通りの効果を出せるよう、社内報の4つの目的を把握していきましょう。
- 情報伝達
社内報は、社員に会社のニュースや業績、経営方針などを伝達するためのツールです。
社員が会社の状況を把握することで、モチベーションを高め、企業活動に貢献することができます。 - コミュニケーション
社内報は、社員同士のコミュニケーションを促進するためのツールです。
社内報に社員のインタビュー記事や活動の紹介記事を掲載することで、社員が互いの顔や仕事ぶりを知ることができます。また、社内イベントや活動の告知を行うことで、社員同士の交流を深めることができます。 - モチベーション向上
社内報は、社員のモチベーションを向上させるためのツールです。
社内報に会社のニュースや業績、経営方針などを掲載することで、社員が会社の将来に希望を持ち、仕事に取り組む意欲を高めることができます。 - 理念浸透と企業文化の醸成
社内報は、企業文化を醸成するためのツールです。
社内報に会社の理念や価値観、社員の活動などを掲載することで、社員が会社の文化を理解し、共感することができます。
企業におけるコミュニケーション課題とは
企業におけるコミュニケーション課題は、業界や企業の状況によってさまざまです。
その中でも、多くの企業でみられる課題として、一般的には以下のようなものが挙げられます。
- 経営層と社員間のコミュニケーション不足
- 部門間・部署間のコミュニケーション不足
- メールやチャットなどのツールによるコミュニケーションの弊害
- テレワークやリモートワークによるコミュニケーションの難しさ
- 多様化する社員の価値観や働き方への対応
これらの課題を解決するためには、企業はコミュニケーションの重要性を認識し、社員が円滑にコミュニケーションをとれるような環境を整備する必要があります。
製造業
日本における製造業は、GDPの約20%を占める基幹産業です。
2022年3月末時点で、国内の製造業には約190万社が存在し、従業員数は約1,200万人となっています。
製造業は、自動車、電気機械、化学、鉄鋼、食品などの分野に分かれており、それぞれの分野で世界をリードする企業が存在しています。
製造業は、日本の経済成長を支えてきた重要な産業です。
しかし、近年は、グローバル化の進展や人件費の高騰などにより、国内製造業の競争力は低下していると言われており、製造業の国内回帰や生産性向上を支援するための施策を実施しています。
また、製造業では、異なる部署や拠点とのコミュニケーション停滞やグローバル化に伴うコミュニケーションの複雑化、多様化する働き方に対応したコミュニケーションの在り方といった課題を抱えがちです。
政府や企業は、製造業の競争力を強化し、日本の経済成長を支えていくことが求められています。
- 製造業の特徴
- 本社と工場・支店が分かれており国内で離れていることが多い
- 各部門(製造、管理、営業など)の仕事内容が明確に分かれている
- 1人1台のPCを持たない従業員が多い
- 海外拠点の開設や外国人従業員の増加などグローバル化が進む
- 製造業における社内報の目的・狙いとは?
- 本社と分断されがちな工場や支店とPCを持たない従業員へも情報をしっかり届くようにしたい
- 他部署のことがわからない状態を改善し、従業員同士のコミュニケーションを活性化したい
- 自社の製品に込める想い・使命感など、企業のパーパスや社会的責任に対する意識を高めたい
- 多国籍の従業員向けに多言語対応することで全ての従業員へ平等に情報を届けられるようにしたい
- 製造業向け社内報の制作ポイントを解説!
- 各部門がどんな仕事をしてるか、どんな仲間と働いているかが見えるコンテンツを作る
- PCを持たない従業員も個人のスマホから情報にアクセスできるようWeb対応を導入する
- 企業理念やパーパスを浸透するために、繰り返し伝えられるコンテンツを用意する
- グローバル化に対応できるよう翻訳や多言語化、情報の伝えかたを多様化させる
小売業
2023年5月現在、小売業の割合は全産業に占める割合で約13%、就業者数に占める割合で約15%となっています。
小売業は、近年インターネットの普及や少子高齢化などの影響を受け、大きな変化を遂げています。
消費者はいつでもどこでも商品を購入できるようになり、小売業は、従来とは異なる販売戦略を展開する必要に迫られています。
また、少子高齢化の進展により、高齢者や子育て世帯のニーズに対応した商品やサービスを提供する必要性も高まっています。
そして小売業界全体で労働力不足が深刻化し、店舗スタッフの確保が困難になっています。
人材不足を解決するためには、従業員間のコミュニケーションを円滑にし、心理的安全性の高い職場となり従業員のエンゲージメントを高め離職率を低減するなど、人材管理の効率化や働きやすさの向上に取り組む必要があります。
- 小売業の特徴
- 拠点や店舗が多く、パートやアルバイトで働く従業員が多い
- 拠点や店舗間の交流が少ないためお互いを知ることがなく、他人事になりがち
- PCの配布が各拠点や店舗で1台〜数台と限られてしまう
- サービスに従事する従業員は就業時間にリアルタイムで情報を取得できない
- 小売業における社内報の目的・狙いとは?
- 異なる拠点や店舗の情報を全員で共有しコミュニケーションを活性化させたい
- パートやアルバイトで働く従業員も企業の一員であることを意識づけたい
- 自社の製品やサービスへの理解を深めると同時に好きになってもらいたい
- PCがない、見れない場合でも情報が行き渡るようにしたい
- 小売業向け社内報の制作ポイントを解説!
- 拠点や店舗紹介などのコンテンツを増やすことで相互理解が深まるようにする
- 雇用形態に関わらず、全ての従業員へ平等に情報が届くようにする
- 企業理念やパーパスなどをパートやアルバイトにもわかりやすく伝わるコンテンツを用意する
- PCを持たない従業員も情報にアクセスできるようアプリ対応を導入する
サービス業
国内のサービス業は、2023年5月現在、全業種における割合のうち78.7%占めています。
近年では、サービス業界でもデジタル技術の活用が進んでおり、オンライン予約やオンデマンドサービスの普及、AIチャットボットや自動化技術の導入などが見られます。
デジタル化が進み、顧客との接点やサービス提供の効率化も進み、カスタマーエクスペリエンスの向上が重要視され、顧客ニーズの理解と個別対応、質の高いサービス提供が求められています。
また、AIやデータ分析を活用して、パーソナライズされたサービスを提供する取り組みも増えています。
そして、サービス業界でも、人手不足やデジタル化の遅れ、競争激化と顧客ロイヤルティの獲得などの課題が取り沙汰されています。
自社のサービスの品質を維持し、顧客満足度を高めるためには、優秀なスタッフの確保と適切な教育・トレーニングが必要です。
同時にブランディング戦略だけではなく、従業員に愛着を持ってもらうために、企業理念やパーパスの浸透や企業全体で横の繋がりを強化するためのコミュニケーションが求められています。
- サービス業の特徴
- マニュアルやノウハウなどあらゆる情報が属人化されやすくナレッジの管理が必要
- 拠点や店舗間の交流が少ないため全社で一体感を持ちづらい
- パートやアルバイトなどさまざまな雇用形態の従業員の割合が多い
- サービスに従事する従業員は就業時間にリアルタイムで情報を取得できない
- サービス業における社内報の目的・狙いとは?
- マニュアルやノウハウなどあらゆる情報を共有し保存して整理したり管理したい
- 雇用形態に関わらず、従業員にブランドイメージを背負っているという意識を持ってほしい
- 拠点や店舗どうしのつながりを深め、全社で連携を強めたい
- 自社を好きになってもらい帰属意識や所属意識を高めて人材を定着させたい
- サービス業向け社内報の制作ポイントを解説!
- 自社製品の「品質向上」など全社共通ワードを策定し、ノウハウ発信で交流をはかる
- ブランディングを浸透させるために自社を知ることができるコンテンツを増やす
- お客さまの声や好事例などを全社で共有し、一体感を高め所属意識の醸成をはかる
- 現場で働くスタッフが共感できるような方針や理念を策定し定期的に発信する
IT業
IT産業は多くの雇用を創出しており、2020年には約1,200万人の雇用を創出したと推定されています。
IT産業は持続的な成長を続けており、デジタル化やテクノロジーの普及によって需要が急増中です。
近年のDX化の流れを受けて、業務プロセスの効率化や顧客エクスペリエンスの向上など、企業のビジネスモデル変革を促進しています。
IT産業は急速に成長しているため、人材の需要が高まっており、人材確保とスキルマッチングに大きな課題があります。
最新の技術やスキルに精通した人材の不足が深刻で、企業が適切なスキルマッチングと人材開発に取り組む必要があります。
また、DX化が進む中で、サイバーセキュリティとデータプライバシーの重要性が増しています。
同時に、IT産業は国内外の競合他社との競争も激しく、グローバル市場での存在感を高めるだけでなく、海外展開や国際的なビジネスモデルの構築に取り組む必要があります。
こうした課題に対応するために、IT業界は人材育成や研究開発の推進、セキュリティ対策の強化、国際競争力の向上、持続可能なビジネスモデルの構築など、さまざまな取り組みを行っています。
- IT業の特徴
- プロジェクト単位で進めることも多くコミュニケーションもチーム内で完結しがち
- リモートや客先に常駐する場合もあり全従業員が顔を合わせる機会が少ない
- IT業では特に情報漏洩が懸念されるためコンプライアンスの徹底が必要
- 独立する従業員も多く人材が定着しずらい面がありメンバー育成が進まないことがある
- IT業における社内報の目的・狙いとは?
- プロジェクト単体だけではなくより広い視野で企業全体を見てほしい
- チーム内で完結しがちなコミュニケーションを全社で活発にしたい
- 客先常駐などで自社から離れている従業員にも帰属意識を持ってほしい
- 企業理念を浸透させると同時にコンプライアンスの徹底も推進したい
- IT業向け社内報の制作ポイントを解説!
- 技術力の向上につながるナレッジを従業員自らが発信していけるコミュニティをつくる
- 自己紹介など個人にフォーカスした記事を増やし従業員間の会話のきっかけを提供する
- 離れて勤務している従業員の活躍を記事に取り入れ、企業とのつながりを意識づける
- 研修以外にもマニュアルなどを掲載することで従業員のコンプライアンス意識を高める
まとめ
どんな事業であれ、企業では多様な従業員が働いています。
さまざまなバックグラウンドを持ち、一人ひとり個性や考え方が異なる中、コミュニケーションがうまくいかないことに課題を抱える企業は少なくありません。
そしてこうした課題は、業種によりある程度傾向が見られます。
例えば、製造業では就業中にメールやネットをチェックすることができないため、情報が発信されても気付きにくく、従業員に行き渡ることが難しい傾向があります。
拠点や工場などが分かれているため、従業員は自分が所属する部門以外にどんな人が働いているかを知る機会が限られてしまい、コミュニケーションが閉塞してしまいがちです。
多くの企業では、こうしたさまざまなコミュニケーション課題の解決策として社内報を活用していますが、その社内報を業種の特長から起こり得る課題にフォーカスして運用することで、より効果が期待できます。
社内報を活用していても、なかなかコミュニケーション課題の解決が思うように進まない場合は、今回ご紹介した業種ごとにの傾向や特長に合わせた運用方法を取り入れてみてください。
また、弊社が提供するWeb社内報アプリ『SOLANOWA』では、別途Web社内報コンテンツの企画立案から制作の支援まで承っています。
紙の社内報とWeb社内報を併用していきたい、コストをかけずに運用したい、コンテンツの作り方がわからない、などお悩みをお持ちの方は、お気軽にご相談ください。