ところで社内報って、いつから企業が発刊するようになったのかご存知でしょうか?
入社した時からすでに社内報があったという方。
最近になって会社が社内報を始めたとか、紙からweb社内報に変わったという方も多いかと思います。
そもそも国内で「社内報」が生まれたのはいつなのか?
なぜ社内報をつくろう!と思い至ったのか?
その起源や歴史を知ることで社内報への理解を深めるきっかけにしたいと思います。
「その時、社内報が動いた!」
時代は紙の社内報からWeb社内報へ。
社内報が進化そして変化していく歴史を調べてみました。
1年の誤差?社内報の始まりは明治時代
世界で最初に社内報が誕生したのは、1887年(明治20年)6月ナショナル金銭登録機会社(現在のNCR Corp.,オハイオ)だとされているそうです。(「 世界大百科事典」参照)
では、日本国内で最初に社内報が始まったのはいつごろなのでしょうか?
その起源となる諸説を2つ発見しました。
1つはwikiぺディア掲載の「現在の日本 生命保険が1902年(明治37年)に発行した『社報』である」とする説。
もう1つは、上記の世界大百科事典などに掲載されている「現在のクラシエホールディングスが1903年(明治36年)に発刊した『兵庫の汽笛』である」とする説。
......あれっ?1年の差があるけど、どっちが先?
いきなり難解な歴史の扉を開けてしまった感が否めません。
どちらも企業が自発的に情報を発信した媒体であることに違いはないはず。
一年の差はあれど「明治」時代に国内で初めての社内報が誕生した、と言えるでしょう。
日本が近代国家として大きく飛躍していく時代であった明治に初めて社内報が誕生したようです。
働くひとのために、社内報は生まれた
明治時代に社内報が生まれたのは、時代の背景が大きく影響していました。
産業革命期と呼ばれたこの時代は、男女ともに労働者は低賃金、長時間労働を強いられていました。
過酷な労働条件のもとで働く従業員を守りたいという想いから、上記の社内報『兵庫の汽笛』は生まれたそうです。
ちなみに発刊したのはクラシエホールディングス(当時は鐘淵紡績)の兵庫支店工場長であった武藤山治氏。
「武藤、動きます」とばかりに社内報を発刊するだけに留まらず、工場内に託児所を置いたり福利厚生を整えたのだとか。
社内のコミュニケーションも重要と考え、従業員の娯楽にもなるような記事も掲載していたそうです。
まさに現代のインナーブランディングに通じる想いが、明治から息づいていたんですね。
その後、明治時代には海外に倣い「生命保険制度」に関する事業が浸透しはじめ、店舗間の連絡や毎月の契約高の発表の場として保険会社も社内報の発刊を始めたそうです。
今でいう事業報告や共有、レポートの役割を果たしていたことが伺えます。
消えた社内報...失われた時代を経て求められる時代に
時代は流れ、民主主義・自由主義の思想が広まった大正時代には、社内報のトピックは「労使協調」「働きがい」といった労務問題が多くを占めていたそうです。
また昭和の大戦時には物資不足や人手不足で廃刊をたどる社内報が続発。
戦後の高度経済成長期には、企業数や社員数の増加と共に社内報の数も国内で増加。大きくなっていく企業内の融和を狙いに社内報を多くの企業が必要としました。
「第三のジャーナリズム」と呼ばれる「社内報ブーム」が到来し、全国社内報コンクールが始まったのもこの時期だそう。
ブームとなりメディアの影響を受けながら社内報の存在が身近に感じられるようになっていったというわけなんですね。
しかし、1990年初頭「バブル崩壊」からの長期的な不況の時代には、社内報はコストカットの狙い打ちに。
高度経済成長を機に発展してきた社内報も、この時期を境に衰退の一途をたどります。
このまま消えていくかのように思われた社内報ですが、ご存知のように今も企業は積極的に社内報を発刊し続けています。
それは、企業側が「気付いた」からだと言われています。
何に気づいたのか?
利益を追求することと同じくらい、働く従業員を大事にすることが結果的に企業の安定に繋がることに気付いたからなんです。
そのためには社内に対する働きかけ、ここ数年で広まった「インナーブランディング」が重要視されています。このインナーブランディングを強化する手助けとなるのが社内報です。
時代はまた、社内報を必要とするようになったのです。
まとめ
社内報の歴史を紐解いてみると、始まりが明治時代まで遡るとは驚きですよね。
100年以上も社内報は時代と並走し企業と共に発展してきたと思うと、感慨深いものがあります。
時には時代の荒波に飲み込まれて廃止や休止の憂き目をみた社内報ですが、廃れることなく続いているのはその存在に大きな価値を見出されているからに他なりません。
ネット環境やデバイスの進化とともに、紙の社内報では表現できなかったことをWeb社内報が可能にしました。
令和から先の時代にはどんな進化や変化を遂げるのかワクワクするような楽しさを感じませんか?
制作に四苦八苦しながらも発刊し続ける社内報が、企業を支える土台になり、そこで働くひとを守り、周り回って社会の役に立つ。
発刊するたび、更新するたび、その重みと価値を受け止めていきたいものですね。