人事担当者必読:人材戦略設計に役立つフレームワーク4選

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人材戦略は、企業が競争力を持続的に維持し、成長し続けるために欠かせない要素です。市場の変化に柔軟に対応し、イノベーションを生み出すためには、優秀な人材を採用し、その能力を最大限に引き出し、継続的に成長させることが重要です。
この記事では、人事戦略を効果的に設計し実行するための具体的な手段として、4つのフレームワークを紹介します。

フレームワークとは何か?

ここでのフレームワークとは、複雑な問題や課題を解決するための基本的な構造やモデルのことを指します。問題解決の手法やアプローチを整理し、一貫性と効率性を持たせるためのツールとなります。これにより戦略の策定や組織の運営、業務の改善等において組織の成長や変革を推進します。

フレームワーク1:コンピテンシーフレームワーク

コンピテンシーフレームワークの概要

コンピテンシーフレームワークは、組織が求めるスキル、知識、行動特性を体系化し、それらを評価・開発するための枠組みになります。それぞれの役職や役割において求められる能力やスキル、更には組織全体の目標達成に必要な共通の能力等を明確にします。

コンピテンシーフレームワークを活用するメリット

コンピテンシーフレームワークを活用することで、従業員一人ひとりが持つべきスキルや行動特性が明確になります。採用時の選考基準の設定、人材配置、人材育成の方針、パフォーマンス評価の基準など、人材に関わる様々な判断を具体的かつ一貫性をもって行うことができます。これにより組織全体のパフォーマンスの向上を実現します。

コンピテンシーフレームワークの活用事例

多くの大手企業が、社員のキャリアパス設計や研修プログラムの設定、パフォーマンス評価の基準作りにコンピテンシーフレームワークを導入しています。これにより個々の社員が何をすべきか、何を学ぶべきかが明確になり、自己の成長に向けた具体的な指針を持つことができます。
以下に、一般的な職務におけるコンピテンシーの具体例を紹介します。

  • コミュニケーション能力
    聴く力:他者の話をしっかりと理解し、適切なフィードバックを提供する能力。
    表現力:自らの考えや意見を明確に伝える能力。
  • 問題解決能力
    分析力:情報を整理し、複雑な状況や問題を理解する能力。
    洞察力:隠れた問題やトレンドを捉える能力。
  • リーダーシップ
    指導力:他者を導き、チームのモチベーションを向上させる能力。
    決断力:情報を基に迅速かつ適切に判断を下す能力。
  • チームワーク
    協調性:他者と協力してタスクを遂行する能力。
    コンフリクトマネジメント:チーム内の対立を適切に解決する能力。
  • 顧客志向
    顧客理解:顧客のニーズや期待を深く理解し、それに応える能力。
    サービス提供:高い品質のサービスを提供し、顧客満足を追求する能力。
  • 自己管理
    タイムマネジメント:時間を効果的に利用し、タスクを計画的に進行させる能力。
    ストレス管理:プレッシャーの下でも冷静に行動する能力。
  • 継続的学習
    学ぶ意欲:新しい知識やスキルを習得する意欲。
    自己反省:自らの行動や結果を振り返り、成長のための反省をする能力。
  • 革新性・創造性
    アイディア発想:新しいアイディアや解決策を提案する能力。
    変化への適応:環境の変化に柔軟に対応する能力。

以上のように、コンピテンシーは多岐にわたる要素を含んでおり、それぞれの組織や役職に応じて重要度や詳細が異なります。組織はこれらのコンピテンシーをもとに人材の評価や育成、採用などの人事戦略を策定することが多いです。

フレームワーク2:マッキンゼー7Sモデル

マッキンゼー7Sモデルの概要

マッキンゼーの7Sモデルは、組織の効果的な運営と変革を理解するためのフレームワークです。7つの要素はすべて"S"で始まるため、7Sモデルと呼ばれています。
以下に7Sモデルの7つの要素を説明します。

  • 戦略 (Strategy)
    組織が競争上の優位を築くための計画やアプローチ。
  • 構造 (Structure)
    組織の階層構造、部門化の方法、情報の流れなどの組織の骨格。
  • システム (Systems)
    組織内の主要な業務プロセスや手続き。情報技術や業務手順など。
  • 共有価値 (Shared Values)
    組織の中核となる信念や価値観。企業のミッションやビジョンに関連している。
  • スキル (Skills)
    組織全体が持っているコアコンピテンシーや特有の能力。
  • スタイル (Style)
    組織のリーダーシップやマネジメントのスタイル。意思決定の方法や組織文化など。
  • スタッフ (Staff)
    組織の人員、彼らの能力、成果、そして彼らが受けるトレーニングや育成方法。

これら7つの要素は相互に関連しており、組織のパフォーマンスや変革の成功に影響を与えます。7Sモデルは、組織の現状分析や改善策の策定時に役立つフレームワークとして広く利用されています。

マッキンゼー7Sモデルを活用するメリット

  • 包括的な分析
    組織の多岐にわたる要素を一つのフレームワークで捉えることができ、外部要因だけでなく内部要因にも焦点を当てることができます。
  • 組織の相互関係の理解
    7つの要素は相互に関連しており、その関係性を理解することで、組織の動きや変更の影響をより深く把握することができます。
  • 変革管理の強化
    組織の変革や再編を考える際に、7Sモデルは変更の影響を総体的に評価するのに役立ちます。
  • 意思決定のサポート
    7つの要素を考慮することで、よりバランスの取れた意思決定を行うことができ、予期しない問題や課題を事前に特定することができます。
  • 組織文化の理解
    「共有価値」や「スタイル」を通じて、組織の文化や価値観を明確にし、それがビジネスパフォーマンスにどのように影響しているかを理解することができます。
  • 戦略の整合性の確認
    戦略と組織の他の要素(構造、システム、スキルなど)との整合性を確認し、戦略の有効性を向上させることができます。
  • 弱点・ギャップの特定
    7Sモデルを使用することで、組織の中での非効率や不整合な点を特定し、改善のためのアクションを立てることができます。

マッキンゼーの7Sモデルは、これらのメリットを活かし、組織の現状分析や変革計画の策定に広く利用されています。

マッキンゼー7Sモデルの活用事例

マッキンゼー7Sモデルは、企業の組織変革やマネジメントの改善、ビジネスプロセスの再設計などの広範な場面で活用されています。具体的には、組織改革を計画する際の現状分析、新しい事業モデルを導入する際の組織設計、組織のパフォーマンス改善を図るための評価基準の設定などに用いられます。

フレームワーク3:バランスト・スコアカード

バランスト・スコアカードの概要

バランスト・スコアカードは、1992年に ロバート・キャプラン教授と コンサルティング会社のデビッド・ノートン氏によってHarvard Business Review 誌上で発表されたもので、財務的な視点、顧客視点、業務プロセス視点、学習と成長視点という4つの視点から、組織のパフォーマンスを評価・管理するフレームワークです。各視点からの目標を設定し、その達成度を定期的に測定します。
それぞれの4つの視点は具体的に以下のような視点になります。

  • 財務的な視点:財務的に成功するために株主に対してどのように行動すべきか
  • 顧客視点:戦略を実現するために顧客に対してどのように行動すべきか
  • 業務プロセス視点:株主と顧客を満足させるためにどのようなビジネスプロセスを創るべきか
  • 学習と成長の視点:戦略実現のために変化・改善する能力をどのように作り維持すべきか

バランスト・スコアカードを活用するメリット

  • 多面的な評価ができる
    財務、顧客、内部プロセス、学習・成長の4つの視点から組織を評価するため、全体的な業績と健全性をバランス良く把握できます。
  • 戦略に基づいた実行
    戦略的な目標と日常業務を結びつけ、組織全体での戦略の理解と実行を強化します。
    これにより、戦略の具体的な進捗を可視化し、必要に応じた調整が容易になります。
  • 組織文化の強化
    全員参加を促し、顧客志向の強化や学習組織の構築を推進します。従業員の一体感と参加意識を高め、組織の成長と顧客満足度の向上に貢献します。

バランスト・スコアカードはこれらのメリットにより、組織の戦略管理と業績評価に有用なツールとして多くの企業で採用されています。

バランスト・スコアカードの活用事例

多くの企業が、戦略の明確化やその遂行状況の把握、さらには戦略の達成に向けて必要な改善策を立案するためにバランスト・スコアカードを活用しています。

フレームワーク4:OKR (Objectives and Key Results)

OKRの概要

OKRは、組織の目標(Objectives)とその目標達成のための具体的な結果(Key Results)を設定し、進捗を測定するためのフレームワークです。
組織全体から個々のメンバーまで、全員が同じ目標に向かって努力できるようにします。

OKRを活用するメリット

OKRを導入することで、組織全体の目標を明確にし、それに向けた具体的な行動を設定します。これにより全員が同じ方向に進むことが可能となります。また、目標の達成度を定期的にチェックすることで、問題を早期に発見し、改善することができます。

OKRの活用事例

GoogleやLinkedInなどの先進的な企業が、OKRを通じて目標管理を行い、高いパフォーマンスを達成しています。目標の設定から達成までのプロセスが透明化され、全社員が全社の目標に貢献する文化を形成しています。

フレームワーク選びのポイント

ビジネス環境と組織文化を理解する

フレームワークを選ぶ際は、ビジネス環境や組織文化を理解することが重要です。
その組織が直面している課題や目指すべき方向、組織の特性や価値観などによって、最適なフレームワークは異なります。

フレームワークの特性を理解し、組織の目標に合わせて選ぶ

また、それぞれのフレームワークの特性や活用方法を理解し、それを組織の目標や課題解決にどう活用するかを考えることも重要です。フレームワークは、単なるツールであり、それをどう使うかによってその効果は大きく変わります。

まとめ

本記事では、人事戦略設計に役立つフレームワーク4つを紹介しました。これらを活用することで、組織の戦略を明確化し、それを具現化するための具体的な行動を設定することが可能となります。また、戦略の遂行状況を把握し、必要な改善を行うための具体的な基準を設けることもできます。これらのフレームワークを活用することで、組織の成長と変革を実現し、競争優位を維持し続けるための人材戦略を設計し、実行することが可能となります。人事担当者は、これらのフレームワークを理解し、自組織に適したフレームワークを選択し、活用することをおすすめいたします。

プロダクト事業部長 柴田将之

筆者:プロダクト事業部長 柴田将之

2005年 GMOグローバルサインホールディングス入社。主にソリューションパートナーとのアライアンスを担当し、SMB市場における各種クラウドの普及に尽力。 2013年 スカイアーク入社。社内報プラットフォーム『SOLANOWA』のサービス設計を手掛け、事業責任者として企画・開発・運営を統括。 2019年よりITR Market ViewのWeb社内報エンタープライズ市場にて3年連続シェアNo.1を獲得し、80万ユーザーが利用するサービスへ成長させる。現在は機能強化を重点にさらなるシェア拡大を目指す。

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