社内報の担当者から寄せられる質問の中でも、とりわけ多いのが「記事の制作はどんな体制で行ったら良いでしょうか?」というものです。
社内報と言っても、企業によってその運用方法は実にさまざまです。
例えば、専門の編集チームが中心となっている企業もあれば、各部署が自主的に寄稿する企業もあります。
そこで今回は、社内報の運用体制はどう作るのが効果的なのか、多くの企業で取り入れられている運用体制のパターンや、社内報を効果的に運用するために必要なポイントなどをまとめました。
目次
●社内報の主な運用体制4パターン
●パターン1:特定組織
●パターン2:横串組織
●パターン3:各部署で持ち回りで運用する
●パターン4:自由に運用する
●社内報の運用で大事な3つこと
・自社に適した媒体を選ぶ
・社内報の運用チームを立ち上げる
・読みたくなるコンテンツを用意する
●読みたくなる社内報を作るポイント
・社内報を発行する目的を明確にする
・定期的に発行する
・さまざまな部署、役職の従業員を登場させる
・発行後に反応を確認する
●まとめ
社内報の主な運用体制4パターン
社内報は、社員への情報共有やコミュニケーション活性化のために欠かせないツールです。
効果的な社内報を運用するためには、適切な運用体制を構築する必要があります。
どの運用体制が適しているかは、企業の規模や社風、社内報の目的などによって異なります。
自社の状況や目的に合わせて、適切な運用体制を検討することが大切です。
社内報の運用体制は、大きく分けて主に4つのパターンがあります。
パターン1:特定組織
特定組織で運用するパターンは、社内広報や経営企画部などの部署が社内報の企画・編集・制作を担います。
特定の個人が社内報の担当者になっているパターンも同様です。
記事のライティングなど制作を外部企業に外注する場合もあります。
特定組織で運用するパターンは、社内報としての目的や方向性を統一しやすいというメリットがあります。
また、記事の頻度やボリュームなどのルールを決めることも容易です。
一方、社内報の運用工数が一部の部署に集中してしまうというデメリットがあります。
社内報の担当者から一方向で発信される体制のため、読者となる従業員に興味を持たれづらいというデメリットもあります。
- メリット
社内報としての目的やコンセプトが統一されやすい
記事の頻度やボリュームなどのルールが決めやすい
トンマナを含め社内報の品質を一定に保ちやすい - デメリット
運用工数が一部の部署に集中してしまう
他の部署の人が興味を持たない可能性がある
社内報のマンネリ化や閉鎖化が起こりやすい
パターン2:横串組織
横串組織で運用するパターンは、社内コミュニケーションチームなどの部署横断的なチームが社内報の企画・編集・制作を担います。
そのため、多くの部署を巻き込むことにより、社内報に活気が出るというメリットがあります。
また、会社をよくしたいという思いを持った人が社内報に携わるため、コンテンツの質が高くなりやすいというメリットもあります。
一方、担当者が業務が立て込んだり忙しくなると、社内報の優先度が下がることがあるというデメリットがあります。
- メリット
多くの部署を巻き込んでコミュニケーションがとられるため社内報に活気が出やすい
会社をよくしたい人で運用するので、コンテンツの質が高くなりやすい
社内報としての目的やコンセプトが統一されやすい - デメリット
担当者が忙しくなると社内報の優先度が下がることがある
部署間の関係性がうまく構築されていないと、意見の衝突や対立が起こる可能性がある
社内報の制作に時間がかかる場合がある
パターン3:各部署で持ち回りで運用する
各部署で持ち回りで運用するパターンは、各部署が交代で社内報の記事を執筆します。
そのため、各部署の情報が出てくるので、社内報が活気がある状態になりやすいというメリットがあります。
また、各部署から発信することで、社内報を自分ごと化しやすいという点も大きなメリットです。
一方で、各部署に協力してもらうためには、巻き込み力や折衝力が求められるため、起動に載せるまで労力が必要になるデメリットがあります。
なお、原則は前述のパターン1をメインとし、一部カテゴリのみを当パターンにされている事例が最も多いです。
- メリット
社員の主体性が促進される
各部署の情報を社内報に載せることができるので、社員の興味を引きやすい
軌道に乗れば社内報運営管理者の工数削減にもつながる - デメリット
担当者が忙しくなると社内報の優先度が下がることがある
社内報の品質のばらつきが大きい
足並みが揃うまでに時間がかかる
パターン4:自由に運用する
こちらは社内の一体感が確立されている企業に限ったレアなパターンではありますが、特定の担当者や担当部署を縛りなく、自由に運用するパターンは、各部署が自由に社内報を運用することができます。
そのため、各部署の自主性を尊重できるというメリットがあります。
また、各部署のニーズに応じた社内報を作成できるというメリットもあります。
一方、統一感のない社内報になる可能性があったり、効果測定が難しいというというデメリットがあります。
- メリット
各部署の情報を社内報に載せることができるので、社員の興味を引きやすい
横同士のコミュニケーションが活発になる
社員の主体性が促進される - デメリット
足並みが揃うまでに時間がかかる
社内報としての目的やコンセプトが統一されにくい
社内報の品質のばらつきが大きい
社内報の運用で大事な3つこと
社内報は、企業の経営理念や方針、事業内容、従業員の活躍などを社員に伝えるための重要なコミュニケーションツールです。
社内報を効果的に運用することで、社員のモチベーション向上や企業文化の醸成、情報共有の促進など、さまざまなメリットが期待できます。
社内報の運用で大事なことは、主に以下の3つです。
・自社に適した媒体を選ぶ
社内報を発信する媒体は、大きく分けて「紙媒体」と「デジタル媒体」の2つがあります。
かつては紙媒体が主流でしたが、近年ではWebやアプリといったデジタル媒体を利用した社内報が増えています。
それぞれの媒体にはメリットとデメリットがあり、理解した上で自社に最適な手段を選ぶことが重要です。
例えば、紙媒体は、手にとって閲覧してもらうものなので、パソコンなどのデジタル機器に不慣れな従業員にも読んでもらいやすいというメリットがあります。
一方で、印刷費用や配送料といったコストがかさむ点や、情報の鮮度が下がる点、閲覧数や反響の把握が難しいといったデメリットがあります。
Webやアプリのデジタル媒体は、情報の更新が早く、パソコンやスマートフォンでいつでもどこでもアクセスできるため、気軽に読んでもらいやすい点や、閲覧数を把握しやすいという点が大きなメリットです。
動画や音声などリッチなコンテンツも掲載できるため、発信できる情報の幅が広がる点もメリットです。
一方で、読者が自ら能動的に情報を取りに行くプル型メディアであるため、読んでもらうためには更新の通知などのしかけが必要で、運用担当者の負担が大きくなってしまう点がデメリットです。
参考コラム:Webか紙か?知っておきたい両メディアの強みと違い
・社内報の運用チームを立ち上げる
社内報の運用は、1人ではなかなかうまくいきません。
社内報の運用と言っても、例えば、コンテンツの企画・制作、デザイン、編集、発行、効果測定など、実にさまざまな業務が必要で、工数もかかります。
定期的に運用していくための人員と工数の確保が難しく、社内報の制作から運営を外部へアウトソーシングする企業も少なくありません。
これらの業務をすべて1人でこなすのは難しいため、社内報の目的やターゲット、スケジュールなどを決め、運用チームを立ち上げることをおすすめします。
・読みたくなるコンテンツを用意する
社内報は、社員が興味を持って読むコンテンツでなければ、効果的に運用することはできません。
そのためには、読みたくなるコンテンツを用意することが重要です。
企業側が一方的に情報を発信するだけでは、多くの社員から読みたいと思われる社内報にはなりません。
社内報で読まれるコンテンツとは、社員一人ひとりに興味や共感を持ってもらいやすい内容、有益な情報です。
たとえば、従業員や部署を紹介するインタビューや座談会、福利厚生の紹介やヘルスケアに関する情報、仕事に役立つノウハウの共有などが含まれると、従業員が興味を持ちやすくなります。
また、より読みやすく興味を引きやすい内容にするためにも、視覚的なアプローチを取り入れることが大切です。
目を引く写真や動画などを効果的に取り入れて、デザインやレイアウトにもこだわりましょう。
読みたくなる社内報を作るポイント
社内報は、社員への情報共有やコミュニケーション活性化のために欠かせないツールです。
しかし、社内報を読んでもらうためには、従業員の興味や関心を引く内容にする必要があります。
社内報が社員にとって魅力的で、読みたくなる社内報を作るためには、以下の4つのポイントを押さえておきましょう。
・社内報を発行する目的を明確にする
社内報を発行する目的は、会社や経営陣が従業員に伝えたいことや、社内コミュニケーションを活性化させたいなど、さまざまです。
目的を明確にすることで、記事の内容や企画に方向性が定まり、読者に響く内容にすることができます。
例えば、社内報の目的が「会社理念の浸透」であれば、社員インタビューや社内イベントのレポートなど、社員の声や行動を通して会社理念を伝える内容が有効です。
また、社内コミュニケーションの活性化が目的であれば、社員同士の交流やコラボレーションを促すような企画や、部署や役職を超えた交流をテーマにした記事が効果的です。
・定期的に発行する
社内報は、定期的に発行することで、読者に「読みたくなる」習慣をつけることができます。
また、定期的に発行することで、社内の情報発信やコミュニケーションを継続的に行うことができます。
発行頻度は、会社の規模や従業員数、社内コミュニケーションの活性度などによって異なります。
一般的には、紙媒体であれば月刊や隔月刊、年4~6回程度の発行、デジタル媒体では、可能であれば毎週の更新、少なくても隔週ペースがおすすめです。
・さまざまな部署、役職の従業員を登場させる
社内報は、社員一人ひとりを巻き込んで作成することで、より多くの従業員に読んでもらえるようになります。
そのため、さまざまな部署や役職の従業員を登場させ、さまざまな視点や声を伝えることが大切です。
例えば、いつも営業部門だけがフィーチャーされていると、バックオフィス部門の従業員にとっては興味がわかないかもしれません。
また社長や経営陣のインタビューだけでは、現場で働いている従業員の活躍にスポットが当たりません。
自分と同じポジションの従業員が表彰されたり取り上げられる記事を読むことで、モチベーションが上がるきっかけになったりします。
マンネリ化を避けるためにも、さまざまな部署、役職の従業員を登場させることを意識してみましょう。
・発行後に反応を確認する
社内報の発行後には、アンケートなどを通じて、従業員の反応を確認しましょう。
社内報をより良いものにするためには、発行後のリアクションを確認して、改善していくことが重要です。
反応を参考にすることで、今後の社内報の改善や新たな企画の立案に役立てることができます。
紙媒体の社内報では、アンケートなどの方法でリアクションを確認できますが、回答率が低い場合や、アンケートの結果が偏ってしまう可能性があります。
一方、Webやアプリなどのデジタル版の社内報では、リアクションの確認が容易です。
投稿された記事に「いいね」などの各種リアクションマークやコメントが付けば、すぐに管理者が確認できます。
また、投稿者にとってリアクションはモチベーションアップにつながります。
コメントのやりとりも、社内のコミュニケーションの活性化のきっかけになります。
人気のある記事や読まれているテーマや連載については、次号以降も継続したり、人気の高いテーマを深掘りしたコンテンツを追加したりするなど、読者のニーズに寄り添った社内報作りを心がけましょう。
まとめ
社内報を効果的に運用するためには、運用体制とコンテンツの両面でポイントを押さえることが大切です。
社内報の運用体制には主に4つのパターンがあり、それぞれ特徴があります。
特定組織で運用する方法、横串組織で情報を共有する方法、各部署で自由に運用する方法、持ち回りで運用する方法、それぞれの体制にメリット・デメリットがあるため、どの体制がベストとは言い切れないですが、自社にあった体制を整えていきましょう。
なお、パターン2〜3は難しいと考えられる担当者さまも多いのですが、その場合は、パターン1を基本スタンスとして、一部カテゴリに2〜3の要素を入れていただくと良いかもしれません。
社内向けの情報発信は、多くの従業員がアクセスするほど効果を発揮します。
そのためには、従業員のニーズに合わせたコンテンツを提供し、興味を引く情報に焦点を当てることが重要です。
日々の見直しや改善を通じて、社内報をより魅力的にしましょう。
また、専用のWeb社内報サービスを活用することで、よりインタラクティブで効果的な社内報を制作することができるのでおすすめです。
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PCを持っていない従業員でも、スマートフォンやタブレットから簡単にWeb社内報を読むことができます。
なお、SOLANOWAでは、別途でWeb社内報コンテンツ制作の支援も提供しています。
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